No.176 船箪笥(タンス)・三国箪笥 2015(平成27)年10月号掲載


 

  福井は日本のドマン中「日本のヘソ福井」第176回目は「船箪笥(タンス)・三国箪笥」の話です。江戸時代中期から明治末期にかけて福井県三国町は、日本海最大の北前船の港町として繁栄を極め、 多くの文化を育みました。中でも北前船に使用される船箪笥があります。しかし、明治18年に海難事故の多発により和船禁止令により北前船は衰退し、船箪笥もその役目を終えました。 その船箪笥を復元し、現代に蘇らせた匠工芸社が福井県福井市にあります。

 創業者の勝木憲二郎会長は、昭和47年に建材販売の営業で訪問した三国のとあるお宅に置いてあった船箪笥を見て、その美しさに衝撃を受けました。 そして、今までの仕事を辞め、全く家具作りの経験がない状態で船箪笥の研究を行い、昭和53年に船箪笥の復元品を発表しました。作り方を教えてくれる師匠はいません。 全て独学で試行錯誤を繰返し、金具から全ての部品を手作りで行いました。

 船箪笥は、北前船で使われる為、その中に往来手形や印鑑、そしてお金などを収納し簡単に開けられない構造になっています。また前面にはびっしりと重厚な黒い鉄金具が施されています。 これにより、海中に投げ出されても機密性と金具のある前面が下になることで水に浮くことが出来ます。平成2年に勝木会長は、自作の船箪笥を東尋坊から海へ投下して、 壊れず、水に浮き、そして内部に水が入らないことを証明しました。

 現在、2代目の村田浩史社長を含め3人で船箪笥製作を行っています。各地の百貨店での「匠の技」展にて実演をしていますので、実物を見ると、先人の技を受け継ぎ美しいモノづくりに挑む情熱を感じ取れると思います。