No.10 ソフトウェアの時代 1984(昭和59)年3月号掲載


 コンピュータが出現してから初めてつくられた”ソフトウェア”なる言葉は、 最近ではコンピュータ以外のいろいろな領域においても用いられ、 しかも多用されている傾向にあります。
この言葉は、コンピュータが他の機械と違って、多くの異なる仕事を自動処理するものであるため、 単に機械である本体(ハードウェア)だけでは全く役に立たず、それをいろいろな目的に合わせて 自動運転ができるように、それぞれのプログラムを作ることが必要であるという 特質から生まれたもので、この無形のプログラム技術を指して、ソフトウェアと呼んだわけです。

 ときに、そのコンピュータが私たちの前に出てから、まだ20数年しかたっていませんが、 20年前のコンピュータ産業におけるハードウェアとソフトウェアの比率は、 コンピュータ産業全体で5:1の割合で、ハードウェアが圧倒的に強いものでした。
しかし、20年たったいま、その対比は完全に逆転し、ソフトがハードの5倍とも6倍ともいわれています。

 当然、コンピュータ産業は、この20数年、猛烈な勢いで伸びてきた産業ですから、 ハードウェアも相当伸びてきたのでしょうが、コンピュータのソフトウェア部分が、 ハードウェアの何倍ものスピードで急伸し、さらにその速度は加速されようとしています。
ハードからソフトへという大きな流れが、ここに大きくクローズアップされ、 私たち日本人のような単一民族にとって、一番のウィークポイントになろうとしています。

 ソフトウェアは、ハードウェアが基本であることはもちろんですが、 ハードばかりに気をとられていると、多民族国家である諸外国の、自由で大胆な発想や創造をする パワーに屈する日が、意外にはやく来るように思えてなりません。
私たち工作機械業界も、無形の目に見えないソフトウェアに、 もう少し目を向ける必要があると思っています。