No.174 拮抗した均衡が破れる時 2014(平成26)年7月号掲載


 4 年に一度の祭典ワールドカップは、ドイツの優勝で幕を閉じました。

 準決勝第一試合の伝統の強豪国同士の対戦ドイツ対開催国ブラジルは、衝撃的な内容でした。開始から10 分は互いに攻撃の圧力の掛け合いでしたが、早い時間帯にブラジルが1失点。その後に6 分間で4 失点、結果前半で5 対0。ブラジルの攻守の要が不在だったことも影響したでしょうが、こんな残酷な試合は記憶に無いほどです。ピッチ、スタジアムだけでなく国全体が目の前の光景が信じられなかったでしょう。ドイツが強すぎたのか、ブラジルがパニックに陥って自滅したのかは何とも言えませんが、サッカーは一定レベル以上であればこんなことは滅多に起きないものです。実力が拮抗した対戦の均衡が破れた瞬間に生まれるエネルギーの落差とそれを見逃さず畳みかける集中力を発揮したドイツは、正に圧巻の一言でした。逆にサッカー王国ブラジルにとっては、今後半世紀は語られる惨劇が起きたと言えるでしょう。

 準決勝第二試合のアルゼンチン対オランダは、第一試合と打って変わって拮抗した両チームの均衡が崩れることなくPK 戦まで縺れ込んだ試合でした。お互い勝ちたい気持ちが前面に出ていて集中力が延長戦を含め120 分殆ど途切れることなく、お互いのエースを封じ込めた守備陣が素晴らしかったです。

 いずれの試合もどちらかが決勝に進めないことは最初から決まっていますが、均衡が破れた瞬間の対応次第で、勝者が生まれた試合だったのか、敗者に落ちた試合だったのかに別れるものだとしみじみと感じた次第です。

 余りにもコントラストが強すぎる準決勝二試合。教訓として、何事も先を読んでしっかりと準備をしていればパニックに陥らないのか?それともメンタリティーの充実があれば良いのか?いや、全ての準備や予測を完璧にすることなどやはり不可能であって、臨機応変な柔軟さを備えること、それを支える精神力がやはりキーになるのでしょう。

 スポーツの試合の中に仕事においても要求されることを垣間見た気がしています。