No.184 ブームとともに 2017(平成29)年7月号掲載


 幼少の頃から幾度となく体験してきた「ブーム」。皆さんもそれぞれ思い出のブームがあると思います。ブームとは「あるものが一時的に盛んになること。急に熱狂的な人気の対象になること」。生活、ファッション、音楽、あらゆる分野で流行っては廃れていったものが思い出されます。バブル経済なんかも一種の経済ブームでした。そんな中でも依然として私の中に残っているもの、それはスーパーカーブーム。幼心に強く刻み込まれ今に至るまで色褪せること無くあります。

 さて、生活の中で消費されていくブーム以外にも、ものづくりや産業の中でもブームがあります。現在ではAIやIoTなどがそれに当たるのでしょうか。但し産業界のブームは少し違った過程があるようです。マツウラが取り組んでいる金属3Dプリンターも5年ほど前に正にこのブームがありました。「産業革命をも呼び起こす夢のデバイスの出現か」と当初大いに持て囃されました。しかし、多くの皆様がご存知のように工法には優位性がありますが、なんでもできる魔法の機械ではありません。一気に燃え上がった恋が急に萎むような感覚を持たれた方もおられるでしょう。生活の中のブームの殆どはこの時点で終わるケースが多いのですが、産業界のブームはここからが分岐点になります。夢を見たものの事実に幻滅し、しかしその事実をもって学習探求し、ゆっくり開発熟成されて着実に世の中に定着していく。そういう過程を経て大成していった工業製品は枚挙に暇がありません。

 現代の工業製品が大成するには、成熟したハードウェア、革新的なソフトウェアと適切な環境の3つが必要といわれます。AIもIoTも条件が整いつつあり段階を踏んで世の中に浸透していくのではないでしょうか。3Dプリンターも幻滅の時期を超え、現在じわじわと浸透してきています。今後航空機エンジンは3Dプリンターによって製造された複雑構造の部品に相当の割合で置き換わっていくと米国エンジンメーカーも公言するに至っています。我々もその手応えを感じております。

 私のスーパーカーブームも幼心に「こんなの無理だよなぁ」と幻滅した時期がありました。でも、ゆっくりと時間の経過のなかで学習し大人になり、周りの理解を得られるよう今も虎視眈々とチャンスを狙っております。やはり何事も肝になるのは諦めないことでしょうか。