No.185 電子人間 2017(平成29)年10月号掲載


 技術の進歩は凄まじく、特に情報技術の発展には目覚しさを感じます。子供の頃の空想を超えて実現している技術は、情報分野に多いのではないでしょうか。そんな中人工知能(AI)が将来どれだけの人間の仕事を置き換えていくのかといった記事が、昨今頻繁に見られるようになりました。

 遡ること18世紀中頃英国では産業革命が始まりましたが、19世紀初頭には「ラッダイト運動」なるものが起きました。これは人間の仕事を奪う織機の打ち壊し運動ですが、数年続いて資本家と労働者との対立構造に変化していくことで鎮静化したそうです。この時を第一次産業革命、その後の重工業の発展が第二次産業革命と呼ばれていますが、AIが実現される近未来は第三次産業革命と呼ばれる様になるのでしょうか?これは後に振り返って検証されることなので、我々には分からないことかもしれません。

 自己学習を行いつつ自律的に判断基準を確立していくAI。通説では1,000億個以上とも言われる神経細胞と1細胞当たり平均1万個程あるシナプスで構成されるネットワークが人間の脳。果たしていつAIが人間の知的限界を超えていくのでしょうか?2020年代後半とも、2045年頃とも言われているようですが、まさにSFの世界に入ってきているようです。欧州議会ではAIを搭載したロボットにも法律上の人(電子人間)としての権利を与えるべきであるという内容を含む決議案が採択されました。自然人、法人、電子人?みたいな感じでしょうか。情報技術の世界では、技術的特異点に達するのはそう夢でもないように感じられます。マシニングセンタの 製造現場でロボットが製品を組み上げるまでに到達するのは、緻密な作り込みを要するが故に実現には困難と思えますが、特定の他の業務エリアでは、圧倒的な処理能力を有する汎用人工知能(AGI)が、または搭載ロボットが業務遂行をする時代がそう遠くないところにあるとも感じます。AGI搭載のデバイスが複雑な判断業務を行ったり、ロボットがそれに伴う作業をこなすようになるとメカ的な容姿を超えて擬人化された人格を感じてしまうかもしれませんね。欧州議会で採択された人権の英語名はelectronic person というそうです。