No.21 相互互恵 1986(昭和61)年1月号掲載


 9月22日に開催されたG5という先進5ヶ国の会議で、世界の流れは大きく変わりました。
わずか2ヶ月強でドルの価値が20%も下落し(反対に日本の通貨は20%も上昇したわけですが)、 さすがの日本株式会社も大変な事態にいたったことを、実感として肌で感じることになりました。
世界の経済や資本の理論は、どのように理屈が通り筋がわかっていても、 政治という大きな力には到底、抗することが出来ないということも立証されましたし、 日本国という小さなワク内でとらわれていては、どうにもならないことが、 今いやというほど実体験させられたようです。

 対米貿易500億ドルを超えるともいわれている日本ですが、日本は100年このかた、 アメリカとともに相互に生きてきた実績(日本の対米輸出入依存度は、一時期を除いて、 第一位を持続しています)をみますと、もはや日本はアメリカを抜きにしては考えられないほどに、 アメリカの一部に組み入れられています。
これはもう、どうすることも出来ぬ現実でもあります。
かといって、カナダやイスラエルのように、アメリカとは第一級のつながりをもつパートナーでないことも、 また現実であることから考えますと、今こそそのつながりを基本に彼らの立場になって、 それらを理解し行動をともにすべきではないかと思います。

 「お前が俺をどれだけ助けてくれるかね。その助けた分だけ俺もお前を助けるよ――」 という言葉は、私の最も親しい米国の友人からでした。
今、俺たちは一番困っているんだ――という呼びかけに、日本人として応えてやることこそ、 100年続いたパートナーへの思いやりではありませんか。
相互互恵という熟語も、新しい年を迎えるいま、もう一度じっくり味わいたいとも思っています。