No.22 地道な企業活動 1986(昭和61)年3月号掲載


 昭和61年もいろいろな諸問題をかかえながえら、はや3ヶ月目に入りました。
昨年9月22日に開催されたG5という先進5ヶ国蔵相、中央銀行総裁の会議で世界の流れは大きく変わり、 わずか2ヶ月強でドルの価値が20%も下落して200円を割り込み、そして今年に入って180円を 前後していますから、さすがの日本国も、いやその子会社や孫会社である私達の身辺までにも、 実感として肌で感じることになりました。
世界の経済や資本の理論は、どうわかっていても人為的な動きや、政治がらみの動きには、 どう頑張っても抗することができないことも、立証されました。
勿論、日本という小さなワクの中で、とらえてもこれまた、どうにもならないこともいやというほど 今回は実体験させられましたし、まだまだいろんなところでも今後、体験させられようとしています。

 ところで昭和61年の景気見通しも、政府見通しは4%成長と一番高い見通しをつけていますが、 いずれにしましてもいろんな研究機関が見通しを発表し「4%成長なんて、とんでもない」とか 「2%成長なんてありえない」などと、論戦はなやかであります。
しかし私達の企業活動や経済活動に、その成長率なる「数字」は、本当に役立つ数字なのでしょうか。
例え政府見通しの4%成長が結果的に正しいものであったとしても、それらが個々の企業にとっては、 なんでもないことはすでによく知られていることです。
それでも毎年、あきもせずに30数通りの見通しを発表し、 それが恒例行事として定着してきたところをみますと、日本人は実体のない「何か」に 幻想をかけすぎているのではと思うのです。

 国全体や経済全般の予測数字をどうこう言うまえに、個々の企業に役立つものを出してほしいと思います。

 輸出、輸入がアンバランスだといわれていて、日本は世界中から袋だたきにあっていますが、 いま日本が輸出の力をゆるめれば、韓国や台湾、それに香港、シンガポールなどの国が すごい力で追い上げており、日本に取って変わろうとしております。
すでに日本の得意先の国々へは我国の2/3以上のものを輸出している事実を、 実数で知ることが大事だと考えます。

 実態が伴わない予測数字より、もっともっと大事な実数を正確に把握し、 地道な経済活動や企業活動が、いまもっとも必要なときではないかと思うのは、 私一人の間違った考えでしょうか。
もう一度じっくり考えてみたい大きな課題とも思っています。