No.25 1ドル100円 1986(昭和61)年9月号掲載


 1ドル100円も時間の問題――最近では、そういう言葉も真実味が出てきました。
1ドル100円の時代は本当に時間の問題なのでしょうか。
もし本当に時間の問題とするならば、私達はそれに対応するための方策を考えねばならないでしょうし、 またいまの日本で、1ドル100円で生きていかれる産業は何かを、調べる必要もありましょう。

 まさかまさかで、60年9月のG5が開催され世界経済に大きなインパクトを与えてから、 はや1年がたちました。
そして1ドル240円近くしていたものが、日本の思惑も何のその、あっという間に200円になり180円、 160円、150円とどんどん円が高まり、反対にドルは安くなってきました。
そしてとうとう1ドル100円も時間の問題といわれるようになりました。
ですから1ドル100円を是認するならば、1ドル200円時代のモノサシを基本として、 その2倍の価格で国際的に通用するもの、いいかえればその2倍の価格で販売できるものであれば、 結構な話なのでしょうが、そうはいきますまい。

 とすれば、残ったことはただひとつ、私達が手掛けている商品が、 1ドル100円に見合ったコストで採算可能か検討し、不可能ならば、 それに見合う新しい商品開発をしなければなりません――ただ、それだけです。
昔から「台風一過」という言葉があります。
台風なんて、いっときの辛抱、あとは秋晴れの上天気。
しかし今度はそんなものとは基本が違っています。

 いままでは量がある程度ありました。
その量が減り、また減って、その上に価格を1/2以下にすることが大命題である現在、 既存の商品にこだわっていては、いかんともなしがたく――というのが、実状です。
私達は工作機械というジャンルで生活してきましたが、このジャンルを度外視することが、 いま必要な時でありましょう。
松浦機械にしかない、福井にしかない、否、日本にしかない、「オリジナリティ」あふれた ジャンルへの問いかけが、一番必要なのではないでしょうか。
1ドル100円というモノサシが、否応なしに使われるのなら、そのモノサシを十分使いこなせるよう、 努力する以外、道は開けないのではないでしょうか。