No.3 ハードとソフト 1983(昭和58)年1月号


 最近、ソフトという言葉を誰かれとなく使ったり、聞いたりする機会が多くなってきた。
ソフトという言葉は、ソフトボールやソフトアイスクリームのソフトではなく、 ソフトウェアのソフトを指しているのだが、このソフトウェアという言葉が 一人歩きしているように思えてならない。

 もともとソフトという言葉は、コンピュータが出現してから初めて作られたもので、 有形の機械装置(ハード)に対して、それに付随する無形のもの、あるいは無形の技術を意味する。
したがって、有形の機械や装置が基礎として実在し、それが前提でその付随する無形のもの あるいは無形の技術を指すのだから、ハードを忘れたソフトウェアではないはず。
しかし最近のあらゆる傾向、例えば大学生の就職傾向などでも、ハードウェアよりも ソフトな肌ざわりがよいと思われるのか、ソフトウェア指向タイプが きわめて多くなっているのが気になる。

 ハードという基礎的機械や基礎的研究に付随してソフトがあるという認識、 技術はソフトだけではだめでハードがなければ成り立たぬという事実、 これをもう一度再確認しないと、私達はハードを忘れて肌あいよくきこえのよい中身のない ソフトだけになってしまい、今まで蓄積してきたハードの総合力がみるみる失われていくように 思えてしかたがない。
ハードウェアをしっかり把握したうえで、さらにソフトウェアにチャレンジすることが 私達の世界的中小企業である日本株式会社の課題ではないだろうか。