No.39 救急車からパトカーへ 1989(平成元)年1月号掲載


 最近でこそ、輸出比率は70%を割り込み60%台に下がっています当社ですが、それでも他社に比べて 極めて高い輸出比率のため、いつも円レートの行方、いや円レートというよりドルレートの高安に一喜一憂しています。
ですから機会あるごとに、それらを含む外国の通貨と日本の通貨との為替レートについては、 いろんな専門家のご意見を聞いています。
銀行の調査部や国際部、各経済研究所などの著名なエコノミストの方々に直接伺ったり、 海外でも同じ質問をつねにしたりしています。

 つい昨年末にもご懇意にさせていただいているN総合研究所の福井県出身である野村さんと、 昼食をはさみながら最近の経済情勢や業界動向を話し合いましたが、為替レート、 特に円とドルに関する見方について大変、面白い見解をしめしてくれました。
「もう救急車(119番、1ドル119円の意味)は出動済みですから、 つぎはパトカー(110番、110円の意味)の出番とおもいますがね」。
著名なエコノミストである野村さんのこの言葉に私は、今年はやはり110円の時代かと思いながらも、 そうならないように祈らずにはいられませんでした。
しかし現実としては1ドル110円、今は120〜125円ですから、この10%切上げることを覚悟して対応策を立てねばと、心に決めざるをえません。
確かに、今までの円高へ対応する日本企業は外国からみれば「奇蹟だ」といわしめるほど、見事なものでしたし、オランダのエラスムス経済大学のスタム博士の言では
「日本人特有の合せる特質は稀有なもので、とても私達にまねの出来るものではなく、オランダ人を含む殆どの外国人はどうにもならないものだ」と嘆いていたのが忘れられません。

 いずれにしましても、また日本企業は1ドル110円の円高に対応するべく動くでしょうし努力もしましょう。
いや、もう対策は終わっているのかも知れません。
それにしましても、出来るならパトカーの出動なく救急車で終わってほしいと願っているのは、私一人ではないと思いつつ新しい年を迎えた、今日この頃です。