No.5 耐用年数 1983(昭和58)年5月号


 昔から工作機械は、マザーマシンといわれ、剛性の面でも精度の面でも殊の外 ウルサクいわれていましたし、また工作機械を製造するメーカー側でも、 その要望に応えてしっかりしたものを手がけてきました。
その結果、経験的耐用年数としては、17〜8年程度が、機械業界の一般的な常識でした。
しかし最近の工作機械は、このような考え方を一変させました。
エレクトロニクスにお株を奪われてしまったような最近のNC工作機械は、 その耐用年数を物理的に試算してみますと、大変なことが解りました。
17〜8年ほどの耐用年数だった当時は、まず1日の稼働は8〜10時間でしたが、取り付け、 取り外しなどの段取り時間に6〜7割かかっていましたから、機械が実際に稼働している時間、 いいかえれば、切粉を出している時間は1日2〜2.5時間程度でした。
このペースが工作機械の物理的、ないしは精度的な面からみた耐用年数だったわけです。
それがいまでは、すべて電子技術が機械制御のほとんどの面をカバーしているため、 1日、2〜3交代でフル稼働し、段取り時間も相当短縮されたため、稼働率は80〜85%と高くなり、 ほぼ2〜3年で、従来の工作機械が17〜8年かけてきたと同等ないしは同量の、 機械的作業を終了させているのです。
当然、電子技術の分だけでは勿論、機械の価格は上昇していますから同じにみることは不都合でしょうが、 純粋に経営上の試算からすれば、2〜3年で償却し終わっていることは確かであろうと思います。

 これから大切なのは、機械関連の剛性や精度面では体験的理論からすれば従来の耐用年数換算で、 2〜30年に匹敵するほどの耐久性、いわゆる寿命を持たざるを得ないところです。
工作機械が手抜きをしないガッチリしたマザーマシンといわれる理由も理屈では 割り切れないこんなところに、人間臭い苦労と深い味わいがあると思うのです。