No.54 欧州からの苦言 1991(平成3)年7月号掲載


 6月4日から始まった、'91 EMOショー初日第一報によりますと、会場内はしずかで特に ドイツの主力メーカーの不振ぶりが目立つとのことでした。
1992年末のEC統合に向かって好況を謳歌していた欧州市場が、東西の壁がなくなり、 ソ連東欧圏の政治・経済の不安定さが直接影響を与え、さらに湾岸戦争が追い打ちを かける形で、現在の不況色を濃くしているのでは・・・とは頭で理解しているものの、 あまりの急変ぶりを耳にしますとただただ驚くばかりです。

 この現状を現地で直接確認できないいらだちを禁じえない私でしたが、すぐ欧州駐在の 担当役員に「現地の友人を訪ね正確な状況把握をするよう−−−」に指示を出しました。
その後の報告はどれも私の予想を上回る厳しい状況でした。
中でも私がもっとも信頼しているドイツの知人からの伝言には体が震える思いがしました。

 「いまドイツの工作機械メーカーの受注状況は、前年比マイナス30〜50%というありさま。
従って今まで自由貿易をとなえていた私達の仲間までが保守主義に変わり、日本メーカーの 横暴ぶりを非難し、徹底的に排斥する決意をした。
欧州市場は我々のものであるし、日本のメーカーはその力の強大さを認識し、相手を思いやる 輸出対策をはやくとるべきです。
もう一つは日本市場で過去にあった過剰な値引き競争を繰り返すと、それらが即、貿易障壁 と受け取られ、直ぐ欧州市場にはね返って大変な混乱を招くということです。
こんな事態が生じないように、松浦さんに確実に伝えて欲しい−−−」。
ミュンヘン空港から届いた欧州駐在役員からの伝言は、今でもはっきり覚えています。

 いまや日本国内の動きは、直ちに世界市場に影響する−−−。
この事実を私たちは改めて認識し、国際化への対応をはかるべきときではないのでしょうか。
よくいわれる「日本の常識は世界の非常識」という言葉をかみしめ、工作機械のリーダー国 として、世界に通じる企業理念でビジネスを進めたいものです。