No.57 プロフェッショナル 1992(平成4)年1月号掲載


 昨年暮れソニーの大賀さんが金沢へこられたのは、平成4年1月に金沢と富山で オーケストラ・アンサンブル金沢が公演される、'92ニューイヤーコンサートの 指揮の打ち合わせと練習をかねたものでした。
大賀さんとのご縁から私は、生まれて初めてオーケストラの練習を目の前で体験する機会を得ました。

 オーケストラ・アンサンブル金沢は、日本を代表する伝統と文化をもつ金沢に、 1988年石川県と金沢市が中心となって日本初の本格的プロの室内管弦楽団として設立。
音楽監督には世界的に有名な指揮者、岩城宏之さんを迎え、さらに素晴らしい素質のある第一級の 奏者を広く世界から集め、日本一の室内オーケストラとしての体制を整えられています。
この楽団の編成は38名ですが、うち1/3弱が外国の方々で、定期公演や特別公演、 依頼公演など県外を含め年間120回余の演奏会を行っています。

 この日、指揮台に立った大賀さんと、オーケストラ奏者との初めての練習演奏は指揮者のたった1回の、 的確なポイント指示(勿論、英語によるものですが)により、38名の奏者が指揮者の思いのままの ハーモニーを表現する、この素晴らしさは何ものにも変えがたい、 大きな感動となって私の身体にせまりました。
1回の指示にもとず指揮と練習で、2度と間違えずに完璧なまでに表現する、 「これこそがプロの世界だ」そんな気がしました。

 このオーケストラの奏者、それぞれがソリストとして立派に通じる人々の集まりであり、 個人としてもグループとしても世界の一級である――。
このことは私たちの企業における未来図であると深く感銘しました。
さらに多国籍化しているが故に、場合によっては和製英語が飛びかう、 そのコミュニケーションぶりには、ボーダレス時代のシンボリックな形を垣間みた気がします。

 プロは良い成果を出すのは勿論、その理念や能力、 行動は誰もがさすがと思われるものでなければならず、今回の素晴らしい出会いがはからずも あおの理想をみせてくれた気持ちです。
私達がいつもたずさわっている工作機械業界の仕事にも大いに役立てるべく、 考え行動を起こさねばならないと、つくづく思った1日でした。