No.61 競争から共創へ―― 1992(平成4)年9月号掲載


 私達の工作機械業界は、生産と出荷において世界第1位のシェアを、 10年前に達成していらい今も続けています。
そのシェアは20〜25%ともいわれており私達にとっては大変に心強いことですが、その反面、 大きな責任が伴っていることはいうまでもありません。

 顧みますと工作機械のNC化の波に乗り、一躍にして世界市場へ進出した日本は、 持ち前の集中力と競争力で、またたくまに世界市場を席巻。
いまや汎用タイプのNC工作機械では揺るぎないまでの地位を築きました。
しかし一方、日本メーカー同志の競争条理を国内だけにとどまらず、 世界市場のありとあらゆる所で繰り広げていることから、欧米の工作機械業界や関連業界から、 ひんしゅくを買っており、一種の文化摩擦にまで発展しかねず憂慮される事態になりつつあります。

 彼らにしてみれば「我々が墓場に捨てたモノを、きれいにメカトロ化して、 新商品として売りつけてくる日本」と目にうつり、そんな風評をしていることは、 いささか行き過ぎだとは思います。
しかし同じような商品がマスプロとマスセールの手法を駆使して、 世界市場のシェア争いを演じている日本メーカー同志の茶番劇は、どうにも鼻持ちならず、 もうやめるべきではないのかと切実に思います。
世界市場で耳にする、目にとまる商品名やブランド名、メーカー名は、いつもいずれも日本名。
欧米の名前が出てくるのは、ごくごくまれにしかない、こんな現在の激烈な価格競争のあり方は、 私達の工作機械業界だけにとらえてみても、業界特有の国家安全保障面からだけでも、 大きな反発を招くことは必至です。

 いまや私達、日本のメーカーは世界のリーダーとして高い理想に基づく行動が 強く求められており、個々の利益をできる限り押さえこみ、個々の単なる競争から業界が ともに新しいものを創造する考え方としての「共創」へと転換を急ぐときであると考えます。

 人まねでなく、クリエイティブな技術開発や商品開発を徹底し、 日本独自の商品で世界市場からウエル・カムといわれる、そんなメーカーとして生き残らねば――。
と特に最近、思いつつ日々、精進している次第です。