No.64 5分の1、思考 1993(平成5)年3月号掲載


 地球上に54億人が生活している今、先進国8億人の人達が地球上のあらゆる資源を使って、快適な生活をエンジョイしています。
そして工業化社会から情報化社会への移行が進み、瞬時にして世界のあらゆる情報は伝達され、 すべての情報が個人の所有として全世界に捉えられるようになりました。
この情報のグローバリズムがテコになって、ベルリンの壁が崩れ70数年続いた共産主義国家、 ソ連の崩壊につながりました。

 そして今、8億人がエンジョイしていた快適な生活を残りの40数億人の人達が知ることとなり、 それ故に快適な生活への欲望が抑えきれない程、大きくなりつつあります。
これらの欲望を54億人すべてが満足するには、従来のシステムではエネルギーも資源も、 時間や距離など、その他すべての面で大きな問題になることは論を待ちません。
少なくともある程度、現在の快適な生活を犠牲にしてでも全ての人達が、 同じレベルで生活できるような全地球的な工夫と英知が必要でしょう。
つまり8億人がエンジョイしていたために消費していたエネルギーや資源、システムを50億余人で分ける。
すなわち1/5に削減し、合理化し圧縮してこそ可能性がでてきます。

 ただ簡単に1/5に削減するということは、極めて難しい問題です。
従来までの社会の仕組みやシステムから、便利な生活道具に至るまでを改善や工夫などという甘い考えでなく、 現状を否定した新しい哲学に基づく革新的な技術開発以外に、方法はないと思います。
それらの兆候がすでに現実の産業界では現れつつあります。
その典型例が自動車の安全走行のためのブレーキシステムとして注目されているABSです。
最初は1組10kg、800ドル前後のものが現在3.8kg、最終的には2kgにまで小型軽量化され、価格も200ドルをめざしている。
勿論、性能や機能は最初のものと全く変わらないということです。
これこそ革新的な新素材や新しい加工方法などの採用があったから出来たことなのでしょう。

 全地球の人達が快適な生活をエンジョイするために、これに応える世界的な1/5思考によるビッグプロジェクト。
これに私達は積極的に参加することが、いま最も大事なことなのでは、と思っています。