No.65 冷戦こそ第三次大戦だった 1993(平成5)年5月号掲載


 第2次大戦が終わって、はや40数年。
この間アメリカとソ連の超強大国家群が対峙し、破壊が伴わない戦争が繰り返され、この現象を冷戦と呼んできました。
普通、戦争は破壊や死を伴うのが常識でしたが、この40数年間は、これらがなかったところから冷たい戦い脱多のでしょう。
抑止力という名で戦備を増強し続け、行きつくところまで行った1989年、ソ連側が突然に手をあげ冷戦はあっけなく終わりました。
その戦後処理で、世界中に大きな混乱が起きている、いま世界の政治や経済・産業はそんな構図なのではないでしょうか。

 この大量破壊と殺戮が伴わない冷戦を、私は第三時大戦と位置づけてみてはと最近、思うようになってきました。
それは工作機械業界の40数年にわたる大きな発展と活況を呈してきたことをみれば、理解できるからです。
工作機械は戦争によって品質や数量が向上してきたという、歴史的な事実でも裏付けられますし、 米国の工作機械の輸入規制も国防上の理由であることも、すでに公知の事実です。
世界二大国が抑止力という名のもとに、軍事力に国家の威信をかけ全力を投入したため、 彼等の自動車や電気製品など民需品は、一人日本が担当してきました。
その担当した日本はハイテクを駆使し、最新のアイデアと工作機械などの設備により、 世界一の品質と数量を誇るまでに発展してきた、とみればうなずけます。

 こうみてきますと冷戦という名の第三次大戦が終わったいま、40数年におよぶ破壊を伴わない戦後処理が、 大きく全世界、いや冷戦で利益を享受した国々に、より多くの負担となってきましょう。
破壊されていないだけに、この処理は私達にいまだ経験がなく困難がつきまといましょう。
一方、軍事力の負担がなくなったアメリカなどは、民需への大転換が始まりました。
自動車産業の復活などはその好例ですね。

 冷戦が第三次大戦というみかたは、私一人の偏見かも知れません。
しかし、これが今次不況の要因とみれば、脇をよほどかためた対処をしなければ大変なことになる。
そして過去のような大きな伸展は、日本の産業もわが工作機械業界にも、当分の間考えられないのではと思います。