No.66 経済戦争、勃発 1993(平成5)年7月号掲載


 「あの高福祉国家のスウェーデンが、高福祉制度のカットへの見直しを始めた。またドイツも、中小企業を中心に休暇や休日をカットして労働日を増やし、一方もっと労働時間を企業側に自由にさせて労働時間を増やし始める−という政策転換をはじめました。」

 このショッキングな特別レポートは、東京サミットが終わった直後の7月13日に、私に届いた親展扱いのものでした。
スウェーデンとドイツのこの大きな政策転換は、何を意味しているのでしょうか。
「福祉予算を削り、減税を行い、一方では休日や毎年の賃金上昇を押えこみ生産性をあげて企業の、国家のコストを下げて競争力をつける−。これは、とにかく彼らをして”再び輸出競争力のある国家体質へのカムバック”に間違いない」とリポートは伝えています。

 東京サミットの話題は、世界の冷戦という名の第三次大戦が終わり、それにかわって経済戦争に入った。
この戦いに勝つための、なりふりかまわぬ国家政策の見直しが始まったのでしょう。
アメリカはアメリカ国内の問題を解決するために、エゴ丸出しで日本や他国に要求をつきつける。
その他の国も似たりよったりのサミット。
失業問題という一面からみた景気刺激と貿易収支改善との相関関係を、うまく俎上に載せて日本をせめあげる。 麻雀で言うなら”日本の一人勝ちは許せない”と政治理論で、とことん追求していく。

 一方では、自国の産業振興のために、どんな手を打ってでも勝っていくという心構えが、国家目的として、現実に動きはじめている。
それが今回の動きとみなければと思うのです。

 こんな世界の流れの中で、私達、日本の国家政策をみたとき−世界一高いインフラコスト、今以上に豊かさを求める欲求の中で、資源を持たぬ日本が本当に、このままで国際競争力を維持していけるのか。
極楽トンボの日本の動きに、ぞっとします。
経済戦争に全世界が、国力をあげて取り組みだした今こそ、私達の日本が国をあげて21世紀に生き残ることを真剣に考えねばならぬ大事なとき、そんな気がします。