No.68 EMO'93の反省 1993(平成5)年11月号掲載


 9月22日、駆け足でハノーバーで開催されたEMO'93展を含めた欧州出張から帰国しました。
この数日の出張で私の脳裏に残ったのは何だったのか、いま思い出し繰り返し反省しています。

 日本製工作機械はメカトロ化で、ここ10年あまり、欧米を追いこしてきました。
FMCやFMSでは世界のどこよりも早く豊富な経験を積みましたし、価格や納期そして品質でも欧米諸国に負けないまでになりました。
しかし良く考えてみれば、メカトロ化したと自負したものの日本のNCメーカーの技術と、その努力に負うところが多いことは誰でも認めるところです。
NCをとってしまえば本当の日本独自の工作機械の特色なり技術なりがあったのかと、正面から問いつめられればYESとはいえますまい。
これこそわが日本の工作機械の現状ではないでしょうか。

 反面、この3〜4年不況が続いている欧州の工作機械メーカーはどうでしょうか。ブースをつぶさに見た私の偽らない感想は、不況の最中としては欧州勢のしたたかさに舌を巻き、意外な健闘ぶりへの驚きでした。
それは日本のブースと比べれば良くわかりましょう。

 日本側は勢いが全くない、同じような顔をしている(機械全体のデザイン、主軸回転数も作業容量も同じ、黄色の帽子をかぶったNC付き)、従って特徴は殆どない、メーカー独自のアイデンティティーやポリシーがなく製品に反映されていない−。
こうみてきますと、「日本の工作機械に今や敵なし」と胸を張った過去の日々が、驕りであったことを実感してきます。
大きな油断だったことも、わかります。
その差が今回の展示会に、表現されてきたのでしょう。

 彼らは新技術へのあくなき研究による新商品、例えば某社が発表したリニアモーターを応用したMCなどに見られるように、工作機械メーカーとしての基本を忘れず、さらに10%前後の失業率と10%前後の金利負担をかかえて、経営している欧州勢のしたたかな実力と底力が、今出てきたのでしょう。
日本の大きな、いや小さい油断の間に、地道にじりじり追い越して、今や私達の手の届かぬところまで引き離されてしまった。
EMO'93を見た実感として2ヶ月たった今も、反省しきりです。