No.7 郷に入れば・・・ 1983(昭和58)年9月号掲載


 諺に「郷に入っては郷に従う」「郷に居ては郷に従え、門に入らば笠をぬげ」があります。
住んでいる所の風俗や習慣には、すなおに従うのがよいというのが、諺の意味だと思います。

 なぜいま、この諺を持ち出したのか、それは日本とアメリカ、日本とヨーロッパのあいだに、 いろいろ解決しなければならない難問題が、ほとんどといっていいほど、 この諺に関連性があると思うからです。
例えば、今いちばんの問題になっているのは、集中豪雨的な日本からアメリカ、 ヨーロッパへ輸出をしていることから、ギクシャクしはじめた貿易摩擦の問題でしょう。

 ことNC旋盤やMCに関しては、10年前はアメリカ、ヨーロッパの、工作機械のユーザーや ディーラーは日本側の工作機械メーカーに、「アメリカやヨーロッパで、機械を売りたければ、 羽織や袴みたいなものでなくせめてモーニングでもよいから、洋服をもってきなさい。 勿論、モーニングなどは一年に何回も着るものではないから、普段着の洋服だったら、 さらによく売れると思いますよ」といったものでした。

 この言葉を私たち日本メーカーは忠実に実行し、モーニングより普段着をと心掛けて一心不乱に、 いろいろ工夫し努力してきましたが、彼らの習慣やルールを考えずに日本ペースで進めたため、 これがギクシャクした問題の原点になったと思います。
この原点を解決するには、アメリカ市場ならアメリカ人と、 ヨーロッパ市場ならヨーロッパの方々と解決するために、話しあいを通じたいろんな糸口やルール、 習慣があると思うのです。
この糸口をたどって、彼らのサイドに立った解決方法を相互に考えてこそ、 本当の解決ができると思うのです。

 そして思い切って洋の東西を問わずヒザを交えた人間関係や、つながりがこれらの難問を 解決する基本的ルールであることを、私達は肝に銘じたいと思います。
「郷には入っては郷に従う」ことが大切な時代です。