No.70 COMMODITY化した日本のNC工作機械 1994(平成6)年3月号掲載


 「COMMODITY(日用品・標準品)化した日本商品は、急激な円高で国際競争力がなくなっているようですね。これは市場指向といいながらも、企業の横並び意識やシェアを競った改良だけの品質向上だからだと思います。」とは最近、私が耳にした言葉のひとつです。
この言葉をよく吟味してみれば、私たちの回りに何と多いことか。
耐久消費財の自動車や家電製品、そして衣食に関わる商品など数多くあります。
私たちの生産するNC工作機械も例外ではありません。

 「A社に出来て何故わが社では出来ぬ」という企業トップの経営的貧困さもありましょうが、品質も性能も同じで仕様と価格に差をつけて、ブラン
ド名の銘板をはずせばメーカーの判別がつかない程です。
それらは供給力という市場シェアを競い、この理論で作られた商品を日本は勿論、世界中へ供給しつづけてきたのでしょう。
商品の特性やオリジナリティを持った差別化などは殆どなく、汎用性の高い国際標準品となって、世界中の市場を席巻してきた、これが日本のモノ作りであるように思います。

 こんな日本商品ですから、昨年から今年にかけての急激な円高という、ひとつの現象で国際競争力を落とすことになるのでしょう。
当然、こんなモノ作りをしてきた日本企業は、不況下で生産過剰を引き起こして価格が乱れ、企業収益が悪化してきましょう。
また現状を知りつつも業界の協調もならず、政治や経済から考えても今のままでは、国際競争力の再現は極めて難しいと思います。

 従って、これらの状況を真摯に捉えて国際競争力に打ち勝つには、企業の自己防衛以外に方法はないでしょう。
その方法は、企業のもてる人・物・金を集中させたオリジナリティある差別化商品、それも数量に左右されないNo.1からオンリー1の商品開発こそが、それらを解決できうる唯一の方法ではないでしょうか。
円高のみならず、全方位的な商品政策や経営理念に基づくリスクマネジメントが、私達には必要な時代がきたと思うのは、私の思い過ごしでしょうか。