No.72 今こそ、勇気をもって―― 1994(平成6)年7月号掲載


 価格破壊はネオン車の登場で、自動車業界を震撼させましたが、 わが業界でも立型マシニングセンタではファダールやハース、そしてシンシナティミラクロンまでが ローコスト商品で日本市場に新登場しました。
この低価格商品は、設計製造から根本的に見直した新しい戦略商品だからこそ、 ローコスト化に成功したのでしょう。

 これは、ローコストに的を絞り込んだ商品として市場に登場したもので、 私達の業界で横行している価格競争とは異質で次元が違うものと思います。
旧態依然の価格体系をそのままに、見積価格の1/2、さらに八掛けなどという「二八」なる言葉が流行し、 相も変わらず値引き合戦という泥試合を繰り返しています。
見積と実勢価格との驚異的な隔たりは、誰がみても普通ではない、 わが業界特有の悪しき慣行の何ものでもありません。

 一方、この低価格とは別次元の馬鹿馬鹿しい二重価格という、 愚かな価格競争を考え直そうという人々もみうけられます。
こんな競争こそ社会を冒賣している商行為ではないでしょうか。
私達が真に取り組んでいかなければならないのは、単にパワーや大きさ、 速さだけの仕様書からの脱皮、そして大差のない性能や機能、価格の競争ではなく、 お客様が求める価値ある新しい技術を適性な価格で提供し、満足ねがうことではないでしょうか。
これが本当の工作機械のビジネスだと思うのです。
それには設計、製造の段階から基本を見直し、過剰な品質や機能などを思いきってカットした、 新しいモノをお客様に提案することでしょう。

 私どもマツウラはニューMAM-HFシリーズの新製品発表を機に、 すべてのマツウラ商品を基本から見直して、新価格体制を実施することにしました。
この新価格は「やってみなければわからぬ」という不安もありますが、 「今こそ勇気を持ってやらねばならない」と思います。
現金正価、掛け値なし――という新しい価格制度に、 是非とも各位の格段のご支援とご高配をいただきたいものです。