No.74 コア型かパート型か 1994(平成6)年11月号掲載


 今秋のシカゴショーでは、米国経済の回復と米国製造業の復権の中での力強い動きを、 目の当たりにしただけでなく、このパワーは来年一杯は続くという強気の予測すらちらほら聞かれる状態。
久しぶりの我が業界にとって明るい話題のショーでした。
この米国経済の回復は、10年以上もかかって行われた、出血と痛みの伴うリストラを断行してきたことが、 大きな原動力になったことは間違いのない事実でしょう。

 しかし、国際的な政治と軍事バランスが崩れ、政治が変わり社会構造や産業構造までもが、 すごい速さで変革しつつある今、いろいろな問題や影響が生じたリストラに代わる、 ひとつの新しい企画形態で成功をおさめているケースが見えはじめました。
その形態は、コア型社員とパート型社員で構成される企業形態です。
先見性があり戦略的経営企画を立案し、積極的に推進するコア型社員。
一方、戦術に基づいて定例定型的な仕事をこなすパート型社員。
この二つの社員を有効に組み合わせて、企業経営を臨機応変、伸縮自在に進めて行くわけですが、 場合によっては核となるコア型社員を除く、全パート型社員は人材派遣会社が用立てる。
いや、核となるオーナー会社は戦略的企画による経営計画を立て、資本と場所だけ、 あとの社長を含むパート型社員は、すべて人材派遣会社から派遣されるという企業経営 (子会社または衛星会社がその実例)です。
予測しきれない大変革期の昨今、社長を含む社員丸ごと人材派遣会社から調達して企業活動し、 1〜2年で成果が出なければ、全てご破算にして、戦略を練り直すという驚くべき米国の企業活動、 まさに契約会社の典型です。

 思えば、いまから10数年前の'80年代、米国が急激なドル高で産業の空洞化をひき起こし、 リストラを10年もかけてやってきました。
当時、私達の日本はハイテクで生き残れると対岸の火事よろしく、何の手立てもせずじまい。
そして現在、1ドル100円を切るという大幅で急激な円高の重いツケが、 その反動としてのしかかってきた、そんな気がします。
もう一度、米国の思い切った大変革期の企業経営を大いに勉強してみる時がきたように思います。