No.86 グローバル化社会での企業の生き残る道とは --- 1996(平成8)年11月号掲載


 今度3度目の米国出張は、IMTS'96展商談を中心にユーザー訪問をかねて、シリコンバレーに約2週間の旅でした。
そこで、本当の意味で「グローバル化社会で生き残る企業葉何が大事か」を改めて確認させられた思いでした。
これ迄に一年に少なくとも4〜5回、多ければ9〜10回と海外へ飛び、延べにすれば優に100余回は出かけていますが、 その中で今回ほど強烈なインパクトをもたらされた事は、久しぶりでした。

 中小企業が生き残る道とも共通しているのでしょうが、次のような例がありました。
英国にあるF-1カーレース用ギアボックスのケース加工を専門にされているA社は、25〜26名の従業員規模の会社であう。
しかし世界中のF-1レースに参加される殆どの自動車メーカーから、向こう2〜3年さきまでの F-1用レースに関するパーツ加工の予約を受けている、というのです。
このA社は一品物をうまく、そして素早く加工する技術(プロトタイプマニュファクチュアリング)を、 A社独自の絞り込んだ固有技術で成功させた好例でしょう。
A社が納入したパーツは、無検査で採用されることも、凄いという一語につきますが、発売元である 自動車メーカーからは、一枚のスケッチ絵の状態で依頼されたものが、一週間いないで完全なパーツとして 納品するというA社の固有技術の持つ凄さです。

 これと同じことを、米国のシリコンバレーのサプライヤーも、既に数年前から実行していることが、今回の渡米でわかりました。
激しい半導体製造装置業界の下降局面をものともせず、試作品という名の製品を三交代で作り続け、 「いかに早く発注元へ提供するか」に企業の命運をかけているこれらの中小企業が、 米国のシリコンバレーのしぶとい生き残りの基盤にあることが驚きでした。

 これからのグローバリズム化社会で生き残る道は、並大抵ではありませんが、これら英米の事例から見れば、 それは自ずからわかります。
「絞り込んだ固有技術によって如何に早さと変化に対応できるか」が、必須条件であることを。
この条件こそが、私達を含む先進国型中小企業の生き残る道であると同時に、全ての企業に通じるのではないでしょうか。