No.93 思わぬライバル 1998(平成10)年1月号掲載


 携帯電話が大きなブームになっています。
今から3年前は僅か200万台だったのが、現在3,500万台と爆発的な伸びとか。
それ以上に驚いたのが、その使用料です。
平均15,000円以上の電話料が、その大多数の高校生や大学生を中心とした若手層に占めているのですから、 なおのことです。

 これらの現象が、例えば女性の個人消費である衣料品の消費を圧迫していると言われ、 またまた驚きでした。
例えば、1万円で若い女性が愛用しているブラウス、タートルネックシャツ、そしてTシャツの 3枚分が買えるそうですから、1万円分の衣料品消費が電話料に喰われていることになります。
驚異的に伸びたカラオケも、その影響か若者が逃げ出し不振になっていると言われています。

 今まで家庭に据付けられていた電話は、家庭や親がかりで負担していた電話料ですが、 持ち歩き出来る携帯電話になって、電話料の負担も使用した個人の負担となる。
まさに家電から個電への社会構造変化が、こんな形で表面化したのでしょう。
衣料品という物よりも、個と個のコミュニケーションが大事であるという価値の変化が、 今までの常識を覆したことになります。

 衣料品の不振やカラオケの不振が、携帯電話に押し潰された話しは、昨年末に電話会社と 衣料品メーカーの方から伺った情報ですが、社会構造の変化が思わぬ日常生活や経済活動までも 大きく変革させかねません。
どうやら、今まで身の回りで起きてきたことも、お上が悪いからと責任を押しつけた 「社会責任時代」から、グローバル化の中での「自己責任時代」を受け入れざるをえない状況が きたのではと思います。
今や社会の仕組みは着実に流れを変えているようです。

 これこそ情報化社会への移行、グローバル化する中での技術革新が思わぬ社会変革を生み、 私達の常識が覆される一例といえましょう。
もし我が業界でも予想だにしなかったライバルが革新的技術によって出現したら――。
私達は常に予想し問題意識を持ちながら、まず確かな情報収集につとめることが、 大切なのではないでしょうか。