No.98 第2の敗戦、日本―― 1998(平成10)年11月号掲載


 この9月、約3週間をかけてアメリカ、ドイツ、イギリスと今年6回目の海外出張、 4度目の世界一周をしてきました。
ロシアやブラジル等ラテンアメリカ諸国等のマネークライシスが、欧米にどんな影響を もたらしているのか、調べてみたかったからです。
勿論、IMTS'98(シカゴ)での技術動向調査や販促という大事な目的もありましたが、 特に世界のリーダーカントリーで、少し陰りがでているアメリカに変化があるのかないのか。
またどのように対応しているのかを、自分の目と耳、感性での調査でした。

 たまたま、アメリカのシカゴとニューヨークで円をドルにチェンジする必要があり、 実際に窓口で円をドル替えしたのですが、それはそれは大変な驚きでした。
シカゴでは邦銀の窓口を探し求めましたが、見当たらず現地のシティバンクで。
1ドル135円前後の正規レートが、実際は150円近くと10%以上の円安。
それも「円を交換して本当に大丈夫か」と上司に確認する有様。
ニューヨークでは、一流のホテルでも同じ。
「これで駄目なら、お好きにどうぞ――」と。

 「日本の円はどうなっている」と質問した私に、有力邦銀の支店長いわく。
「そんな事ぐらいで驚かないで下さい、松浦さん。 今や邦銀へ金を貸すなんて外銀は一行もありませんよ。 ジャパンプレミアムどころか、日本に金を貸したくないのが、彼等の本音なんです」と全く、 お手上げ状態。
この現実は、シカゴやニューヨーク、そしてフランクフルトやロンドンで、 ヒヤリングした現地の政府要人や金融、マスコミ、産業界の各層の方々の本音。

 戦後、営々と築いてきた日本。
世界一の金持ち国で、外貨準備高を誇る日本。
なのに自分が必要とする金も引き出し出来ない日本。
「日本のあらゆるシステムが、おかしいのではないか」と指摘する欧米諸国の知人や友人。
そして「本当に日本は大丈夫なの」と質問攻めする彼等。
まさに第2の世界経済戦争に完敗した姿が今――。

 このまま、沈没すると思っている世界からみた日本。
ロシアの影響どころか、日本自体が危機に瀕しており、孤立化している我が国の状態を、 まざまざと見せつけられ、情けなく落胆させられた、世界一周でした。