金属光造形複合加工医療機器フォーラム

医療フォーラムについて

会長挨拶

鶴見大学歯学部 有床義歯補綴学講座 教授
鶴見大学歯学部附属病院 病院長
鶴見大学歯学部 学部長
大久保 力廣

この度、金属光造形複合加工医療機器フォーラムが発足から10周年を迎えました。その記念すべき時期に、本フォーラムの会長を拝命しましたことは身に余る光栄であり、同時に、その重積に身の引き締まる思いでおります。これまで発足から本フォーラムを力強く先導されました初代会長の小田 豊先生、2代目会長の岡崎義光先生の多大なるご功績に敬意と感謝を表しながら、今後の本フォーラムの発展に少しでも貢献できればと誓いを新たにしているところです。

さて、世のデジタルテクノロジーの急速な発展に併走し、歯科界でもデジタルを応用した治療が急速に普及しつつあります。その一角でもあるCAD/CAMシステムの導入は、均質で精度の高い補綴装置の製作のために必要不可欠であり、我が国の医療機器の品質を向上させるためにも多方面から多大な期待が寄せられています。特に、切削加工には形状の制約や切削屑の排出といった諸問題があり、一方の積層造形には表面性状が粗造という欠点がありますが、両者のハイブリッド加工はこれらの問題点を克服できる可能性を秘めています。この画期的な国産技術に対して基礎的研究データを蓄積しながら、臨床応用を積極的に進めていく所存です。

今後もCAD/CAMによる医療機器の製作は時代の趨勢であり、益々の普及を推進する必要がありますが、本フォーラムがその牽引役のひとつになれれば幸いです。製造者、研究者、ユーザーの垣根がなく、産・学・官の立場から叡智を集め、金属光造形複合加工法の発展に会員の皆様とともに、尽力していきたいと思っています。どうぞご支援、ご協力をお願い申し上げます。

設立趣旨・目的

1.フォーラム設立趣旨

金属粉末のレーザ焼結積層と小径エンドミルによる仕上げ加工を同一装置内で行う金属光造形複合加工方法は、積層造形と切削加工とを合わせた1マシン1プロセスを実現するハイブリッド加工方法である。この金属光造形複合加工は松下電工(現パナソニック)が開発した基本技術を基に、松浦機械製作所が開発した装置で、世界初の国産の加工技術である。この加工方法では、従来の除去加工や成形加工で不可能であった複雑な形状を高精度で実現することが可能である。

積層造形法を用いた金属製医療機器の作製方法として既に、Direct Metal Laser Sintering(DMLS)、 Selective Laser Melting(SLM)法が研究開発から製品製造に導入されつつあり、金属積層造形法は発展段階にあると言える。この様な中で金属光造形複合加工方法の特徴を活かすことにより、従来の積層造形法の課題を克服出来るだけでなく、未開発・未発見の新たな医療機器としてのニーズに応えられるものと考えられる。 例えば、歯科医療の分野では既にCo-Cr合金による応用が可能とされているものの、生体適合性に優れたチタン合金では更なる検討が求められている。また、個々の患者に適合した形状のインプラント作製、個々の要求に合わせた複雑な形状の歯科補綴物作製など、新たな歯科医療技術の展開にも繋がるものである。

この様に、多くの課題と可能性の残された金属光造形複合加工方法について、開発者、ユーザを問わず産・官・学の多くの方々の知恵を集め議論することで、ニーズの掘り起こしと技術的シーズの更なる改良と発展に寄与できるものと考える。

2.フォーラム設立目的

製造者、研究者、ユーザーを問わず産官学のメンバーが集まり、医療機器に対する臨床的ニーズと要求事項を明示するとともに、金属光造形複合加工法における技術的問題点を抽出することによって、両者の課題と対策を意見交換し、金属光造形複合加工技術の医療機器への普及を目的とする。

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