No.14 1ミクロン 1984(昭和59)年11月号掲載


 1ミクロン。気の遠くなるような1ミリメートルの千分の1という長さの単位ですね。
この1ミクロンという単位の製品がすでに百数年前から商品化されていることをご存じでしょうか。

 私ども、福井県の北隣りの石川県は金沢の伝統工芸、というよりも今でも、 脈々と息づいている金箔産業が、それです。
金箔、おわかりでしょうか。
北陸は仏教王国、この基礎となっている宗教が金箔産業を温存し、育ててきたのです。
仏壇に金が薄く薄く張りつけてある、あの金の薄紙への加工業。
そして、あの金の薄紙みたいな、あの厚さが1ミクロンという単位なのです。

 1ミクロンという極薄単位の加工方法は、名人芸なのでしょうか。
いや、素朴な昔から伝えられてきた加工方法を、ただそのまま受け継いでいるのではなく、 基本を忠実に受け継ぎながら、いろんな工夫や創意を取り入れ、積み重ねてきたからこそ、 1ミクロン単位の金箔が出来たのでしょう。
そして石川県は金箔生産日本一を数十年、保持しているのです。

 1ミクロンという単位。
今、私たちはいろんな道具や技術を駆使して、この極小単位に挑んでいます。
伝統的産業の金箔は、至極簡単にやってのけています。
この差をどのような形で縮めることが出来ましょうか。
高精度加工の要求がますます多くなる工作機械業界も、もう一度、 その辺から再検討するべきときかも知れません。