No.15 よい製品をつくる心 1985(昭和60)年1月号掲載


 作り酒屋さんでは新酒の仕込みが真最中。
福井をはじめ、雪国の金沢は昔から造り酒屋が数多くあったものの企業規模が小さかったため、 自分で販売するルートを持つことが出来ず、普通「桶売り」という販売方法により 神戸の灘や京都の伏見にある酒造会社へ。
そこでは、全国から集まった「酒」をブレンドして、灘や伏見の清酒として売り出してきました。

 しかし、これはもう過去のこと。
今では、多様な趣向をもつ現代人は地方の酒や一昨年までは考えられなかった焼酎が大きく 脚光を浴び始めています。
福井や金沢に根をおろす酒造会社では、はるばる北陸へおいでいただくお客様のために 「コストよりもどうしたらよい原料を集められるか」に日夜努力し、 そして「よい杜氏、よい水とよい環境」をベースに、酒造りに精進しています (金沢・福光屋酒造社長談)。

 よい杜氏とは、よい酒をつくるという心を持っている職人(杜氏)であり、 よい水とよい環境は、工場の立地条件や設備投資、特に機械装置と設備には価格が安いから 納期が短いからということで妥協することなく、最新鋭の世界一流品を設備することだとも いわれています。
これらの哲学があって、はじめて「よい酒」が「お客様に満足のいく酒」が 醸造されるものと思います。

 酒をつくる、それもよい酒をつくる心は、すべてに共通するのでしょうが、 私たちがたずさわっている工作機械でも、この心は同じと思います。
よりよい製品をつくらなければならないという心、この心を持つのに苦情を感じなくなった時こそ、 本当の意味で「完成された」製品が生産されてくるのでしょう。
最近の工作機械業界には、少々耳の痛い忠告として、もう一度基礎から見直すべきときかも知れません。