No.181 差別化のキー 2016(平成28)年10月号掲載


 差別化への道筋が見えていればもう答えは出ているようなもの。後は実行するのみ。何事もここに辿り着くまでに時間が掛かります。

 日本でも今年の夏頃ポケモンGOが大きな社会現象になりました。一時よりは沈静化したようですが、それでもスマホ片手に公園や観光スポットでは大勢の人々がゲームを楽しんでいるようです。さて、このポケモンGOは、ヴァーチャルリアリティ(VR)を我々の生活の中で極めて身近に感じさせた最大の商品と言えるのではないでしょうか。実際にそこにモンスターはいないのに、傍から見たら見えないものを追っているかの如く人が動いて一喜一憂している様子は、ついぞ昔では考えられない光景です。ゲームとは言え、サイバー世界が現実の生活行動に大きな影響を与えている点では、時代もここまで来たかと感慨深いものがあります。VRの特性を活かした差別化されたスマホゲームが、社会に大きなインパクトを与えた事例でした。

 転じて、産業界ではIoT、インダストリー4.0、スマートファクトリー等々、時代を表した新用語が使われ始めて久しいです。IoTとは「コンピューターや通信機器だけでなく現実世界に存在する様々なモノに通信機能を持たせ、インターネット接続や相互通信することで、自動認識・制御、遠隔計測などを行うこと」が大まかな定義になると思います。この概念を実際のものづくりの現場に適用できる程にテクノロジーは進んできました。

 全ての車をインターネットに繋ぎ渋滞情報を提供できても、結局、車は人が運転するもの。完全な自動運転技術とIoTがリンクすると別の世界が待っているのでしょうが、そこに至るまでの技術と社会制度の融合には、これからも様々なことが試され実証が必要と言えます。工作機械で言えば、例え生産現場を見える化したとしても、各々の企業で大きく差別化する道筋が見えていなければ、折角の素晴らしいテクノロジーも実効性の乏しいものになりかねません。ひとつの生産現場、複数の現場からなる工場内のシステム、複数の工場、ひとつひとつの現場を有機的に繋げる技術はもうすぐそこにあります。しかし、競争力を上げる、自社の価値が差別化され優位性を発揮できるかどうかは、綿密な分析とプランニングがないと実現しないのでしょう。何とも高度な時代になってきました。いくつになっても勉強ですね。