No.28 HOWからWHATへ 1987(昭和62)年3月号掲載


 もうスコッチ、買ってくれよと、からみ酒――これは先日、親日家で元駐日英国大使 ヒュー・コータッツイ卿が大阪の講演会で述べられた川柳でした。
その会場は、この川柳でどっと笑いが出ましたが、何を言いたかったのでしょうか。

 このさらりと述べられた川柳は同大使の苦心の作かどうかは聞きもらしましたが、 私達日本人の良心をチクリとさしたことは、会場の皆さんの笑いでうなずけましょう。
大の知日家であり親日家として自他ともに認め、日本語を私達日本人以上に流暢に話される ヒュー・コータッツイ卿をして、こんな川柳を述べられるその心には、 なみなみならぬ思いがあるのでしょう。
「もう少し買ってくれよ―」と言っている英国人の気持ちが、 私達の心をどこかでとらえることができるとしたなら、今こそ私達は考えねばならない時ではと思います。
そして、この英国人だけではなくて日本を除くすべての国の人々の声を受け取るべきではないでしょうか。

 私達日本人は、欧米を手本にして欧米を追いつき追い越してきました。
それは欧米の物まねだけでなく日本人独特の工夫をこらしたことも事実でした。
その結果、例えば私達は、意識のあるなしにかかわらず世界一高い給料を取り、 世界一高い土地に住み、贅沢な食事をしています。
そしてその世界一という実感は全くありません――。
さて、欧米を追い越した私達日本人は、お手本もなくこれから何をどうしたらいいのでしょうか。
どうやって、どんな方法で、どんな状態でするべきかという行動は、もう、とれなくなっています。
難しいことになりましたが、私達は将来の問題を予測して、何をどう解決しなければならないか、 そのために何をどうするのか、問いかけ答えをださねばならなくなりました。
企業の大小を問わず、公私に関係なくいまこそ何をどうするか考えるべき時ではないでしょうか。

 せっかくの名川柳「もうスコッチ、買ってくれよと、からみ酒」を本当の意味で 役立てたいといま、つくづく思う毎日です。