No.170 水月湖の年縞(ねんこう) 2013(平成25)年10月号掲載


 

 福井は日本のドマン中「日本のヘソ福井」第170回目は「水月湖の年縞(ねんこう)」の話です。水月湖とは、福井県の嶺南に位置する三方五湖と呼ばれる五つの湖の一つです。この水月湖に、世界の歴史教科書を書き換える程の「お宝」が眠っています。それが世界でも類をみない、何万年分もの堆積物が織りなす「年縞」(縞模様のある堆積物)です。その中に、地球の気候変動を記録した貴重な情報が含まれています。

 水月湖は最大水深34mと深く、直接流れ込む大きな河川がないため、湖底の水や泥は水流でかき乱されることがなく、静かにそのままの状態で長い年月を経ています。年縞を1枚ずつ数えて、そこに含まれる物質を分析することで、周辺の植生、森林の変遷、気温・水温、海面の高さの変動、洪水や地震発生まで知ること出来ます。この水月湖の場合、約15万年間にわたって、ほぼ年単位の細かな年代測定が可能で、世界各地で発見された年縞の最長記録です。

 平成18年7月に英国ニューカッスル大学の中川毅助教授をはじめ各国の研究者が参加して学術調査が行なわれ、最長71m余りの年縞を採取し、7万年分の「地球の記録」が引き上げられました。この研究により、地球温暖化の危機が迫る中で、過去から未来を予測する手がかりを提供するものとして期待が寄せられています。そして、この年縞は、5万年前までの年代を決める「放射性炭素年代測定法」の世界標準となりました。