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ユーザーを訪ねて

2022年秋号のユーザーを訪ねて

マルチパレットの活用で「短納期対応」と「働きやすさ」を両立

株式会社よしいけ工業所 様

 

今回のユーザーを訪ねては、東海北陸自動車道の一宮西ICから車で15分の距離にある株式会社よしいけ工業所です。同社は機械・電子・医療・自動車など様々な分野に向けた金属部品加工を手掛けており、取り扱う素材もアルミ・鉄・炭素鋼・真鍮・ステンレスなどの一般材から難削材まで多岐に渡ります。あらゆる治具を自社製作しており、独自のアイデアを活かした提案力に強みを持ちます。またマルチパレット搭載のマシニングセンタを効率的に活用することで短納期のオーダーにも柔軟に対応してきました。取材には早川英二取締役社長にご対応頂きました。早川社長は2000年に同社に入社。以来、製造部門でマシニングセンタのオペレーターとしての業務に従事され、今年5月に創業者である先代から事業を継承する形で、2代目の社長に就任されました。

創業のきっかけは居酒屋での出会い

同社の歴史は、1973年9月に先代社長である長谷川弘明氏が、一宮市東五城の地で金属加工業をスタートしたことから始まります。創業当時のユニークなエピソードについて早川社長に伺いました。「金属加工に従事していた先代がそこで培った技術を基に創業し、1977年3月に現在の社名となりました。創業のきっかけは居酒屋でのとある出会いからだったと聞いています。先代の行きつけだった居酒屋で、お客さんの一人と意気投合したところから話が進み、その方と二人で起業することになったそうです。創業当時はフライス盤を使用して、ガイドブッシュと呼ばれる軸受部品などを加工していました。当社は現在、鋳造品を扱う岡本・ナベヤグループの一員となっていますが、創業当時から同グループは主要な取引先でした。同グループへの納入実績が増えるにつれ当社の技術力も高まり、次第に半導体関連や工作機械関連など様々な分野との取引を持つようになりました」と早川社長。

リーマンショックからの回復

順調に取引先を増やし、2007年までに4棟の工場を構えるまでに成長した同社でしたが、程なくしてかつてない不況に見舞われることとなります。「私が入社した2000年頃、当社では半導体製造の分野で使用される直動部品が主力製品となっていました。以前から半導体市場の景気変動に左右される形で、当社の経営にも何度か浮き沈みはありましたが、2008年頃から始まったリーマンショックの影響は、とりわけ大きなものでした。ある部品では月産15万個の受注が、月産7千個まで落ち込んだ程です。2010年頃までは非常に苦しい経営を強いられることになりました」と当時を振り返る早川社長。苦境に立たされた同社でしたが、持ち前の提案力と短納期対応における取引先からの支持は根強く、徐々に業績を回復させます。近年は順調に売り上げを伸ばし、2021年11月には、工場4棟の生産機能を集中、及び増強するため、愛知県一宮市に本社工場を移転しました。新社屋は従来の本社工場と比べ、敷地面積は2.3倍、延床面積は3.9倍の規模を誇ります。

マシニングセンタ17台すべてがマツウラ製

直動部品をはじめ様々な金属加工を手掛ける同社では、創業以来、多数のマシニングセンタを設備してきましたが、そのすべてがマツウラ製です。「1985年に設備された横形マシニングセンタMC-400H が当社にとって初めてのマツウラ機で、私が入社して初めて操作を覚えた機械でもあります。加工精度と剛性が優れた機械であったことを記憶しています。現在は既に手放していますが、MC-400Hの実績は大きく、それ以降マシニングセンタに関してはマツウラ製のみを設備してきました」と早川社長。現在、同社では立形、横形、5軸合わせて17台のマツウラ製マシニングセンタが設備されていますが、その内10台をRA Series やR.Plus-550 など2面パレット付の立形マシニングセンタが占めています。「先代の頃から継承している当社の特色は、立形マシニングセンタのマルチパレットを活用し、機械を止めないことで生産性を高める点にあると私は考えます。それに付随し、治具をオリジナルで製作できるノウハウが、幅広い分野への対応力に繋がっています。当社の強みを最大限に発揮するうえで、マツウラのマルチパレット機の存在は大きな意味を持ちます」とマツウラ機を評価する早川社長。

5軸マルチパレット機の恩恵

立形2面パレット機の活用により軌道に乗った同社は、加工の幅を広げるため5軸マシニングセンタの設備に乗り出します。「5軸の初号機は2010年に設備したMAM72-42V PC2 です。傾斜軸を活用した加工品の引き合いがあり、それに対応するために導入しました。実際に5軸加工の恩恵を強く実感できたのはその後、2015年に設備したMAM72-35V PC32 です。設備した当初は効果的な活用方法に悩んでおり、32パレットすべてを埋めるのに2年程を要しました。しかし、不定期で引き合いのあるリピート品への対応に活用するようになってからは、徐々に5軸マルチパレット機を活用するノウハウが蓄積されていきました。その後に設備したMX-330 PC10、MX-420 PC10についてはスムーズに立上げることができています。5軸マルチパレット機を活用した夜間無人運転は、現在当社の大きな戦力となっています」と語る早川社長。同社では今後も5軸マルチパレット機への設備投資を継続するとのことで、来年2月にはMAM72 Seriesから新規に1台を設備予定となっています。

短納期対応と働きやすさの両立

取材の最後に今後の展望について伺いました。「近年、注目を集めている“働き方改革”への取り組みを更に進めたいと考えています。時間外労働の削減は、昨今の製造業に共通する課題です。若手エンジニアを中心にワークライフバランスを重視する傾向は今後も高まっていくでしょう。特に当社は社員の平均年齢が同業他社と比べて若く、嬉しいことに今年も20代の社員が3名入社しています。当社で活躍してくれている若手の定着率を上げるためにも、時間外労働の削減に取り組んでいます。当社でも、従来は多くの従業員に長時間の残業や休日出勤をお願いせざるを得ない状態でした。しかしMAM72 Series やMX Seriesといった5軸マルチパレット機を効率的に稼働させられるようになってからは、残業時間の上限を2時間と設定し、休日出勤もほとんど必要なくなりました。当社の強みである短納期への対応力と、働きやすい職場環境を両立させるため、今後も5軸マルチパレット機を活用した業務効率化に、社員一丸となって取り組みたいと考えています。」と早川社長。


「2022年2月に設備したMX-420 PC10をきっかけに新たにEV関連での引き合いがありました。5軸マルチパレット機の活用は職場環境の改善に繋がるだけでなく、新規分野の開拓にも役立ちました」と早川社長。インタビューと工場風景の動画は、記載のQRコードを読み取りご視聴頂くことができます。また、当社ホームページでも公開中です。ぜひご覧ください。

会社情報

会社名
株式会社よしいけ工業所 様
本社
〒494-0012 愛知県一宮市明地字金屋敷6番地1
TEL
0586-85-7255
FAX
0586-85-7257
設立
1977年3月4日
従業員数
42名
事業内容
金属部品加工(マシニング加工、NC旋盤加 工、ワイヤーカットなど)

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