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ユーザーを訪ねて

2022年4月号のユーザーを訪ねて

No.189

製品カテゴリ:MAM72-52VH.Plus-405

時代を先取るデジタル化で培った三次元加工技術

平和産業株式会社 様

 

今回のユーザーを訪ねては、中央自動車道の駒ヶ根ICから車で5分の距離にある平和産業株式会社 駒ヶ根工場です。同社では航空・宇宙分野をはじめとする様々な部品加工を手掛けており、全国5 ヶ所に製造拠点を展開しています。駒ヶ根工場では主に航空機と半導体製造装置向けの部品を加工しており、中央アルプスを間近に望む広大な敷地には4棟の建屋と1,000kWの太陽光発電設備を構えます。取材には八尾泰弘代表取締役社長、ならびに研究開発担当の日下部篤史様にご対応頂きました。八尾社長は機械系の大学を卒業した後、金型関連企業や大手精密鋳造企業での勤務を経験されました。28歳で同社に入社され、品質保証や営業、機械加工に携わり、2005年に42歳で社長に就任されました。2013年には会社経営の傍ら社会人ドクターとして博士号を取得されています。日下部様は同社の新規拠点の立ち上げを担当し、現在は駒ヶ根工場を中心とする各拠点の運営に携わっています。

時代を先取るデジタル化

同社は1967年に設立されました。工具類の販売から事業をスタートしましたが、オーダーメイド品の受注に対応するうちに、徐々に製造業へとシフトします。同社の強みは3DCADを用いた三次元加工技術です。その技術力は特に航空・宇宙分野で高く評価されており、国内外の主要航空機メーカーに多数の納入実績を持ちます。2010年には小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトへの貢献が称えられ、文部科学大臣から感謝状が贈られました。高い技術力の背景には、他社に先駆けて最先端のデジタル技術を取り入れてきた歴史があります。「日本では1980年代から工作機械のNC化が進みます。同時期にCADの3D化も進むのですが、そのタイミングで当社では3DCADを販売する関連会社を設立しました。80年代半ばからは当社の製造部門においても、NCと3DCADを組み合わせたモノづくりを進めました。当時は3DCADを導入している企業はほとんど無く、国内では当社を含め3社ほどでした。市場に浸透し切っていない3DCADはすぐには収益に結び付かず、導入当初は経営の足枷となっていた事は確かです」と当時を振り返る八尾社長。当時の最先端技術を先取りした同社ですが、1990年代に入ってからは徐々に時代が追いつきはじめます。「欧米の航空機メーカーでは1990年頃から3DCADの使用を前提とした設計を取り入れるようになりました。当社では1992年に3DCADで構想されたボーイング777のプロジェクトに、設計・製造を支援する形で参入したことが航空機ビジネスの始まりとなりました」と八尾社長。以降、同社では航空・宇宙分野を軸に事業を展開することとなります。

『高速加工』との出会い

航空機分野に参入した約3年後に、同社にとって最初のマツウラ製品が設備されます。八尾社長は当時を振り返ります。「マツウラとのお付き合いは95年に設備した立形マシニングセンタMC-1000VF から始まりました。当時、松浦正則会長が掲げた『アルミには高速加工』というコンセプトに魅力を感じました。当時の切削といえば3,600回転程度が最高でしたが、マツウラの機械は15,000回転を謳い、見本市でも注目を集めていたことを記憶しています。ちょうど航空機分野で大量のアルミを加工するニーズが高まったこともあり、MC-1000VF は当社にマッチする機械でした。当時の機械なので未成熟な部分もあり、スピンドルの耐久性にも多少の問題はありました。しかし正則会長の『スピンドルが壊れてもい くらでも交換します』という言葉を信じて設備に踏み切りました。実際、スピンドルに問題が生じた場合は必ず3日以内に交換されました。この頃に抱いたサポート体制への信頼は、現在のマツウラにも感じています」他社に先駆けて導入したNCと3DCADのノウハウ、またMC-1000VF により醸成された高速加工技術に支えられ、航空・宇宙業界における同社の存在感は次第に高まります。2000年代以降は加工する部品の高度化に伴い、同社でも各工場で5軸機の設備を進めます。マツウラからはMAM72-3VS、MAM72-52Vといった5軸制御マシニングセンタを、現在までに計7台設備します。

新規分野の開拓を支えるマツウラ

航空・宇宙分野での地位を確立した同社は、2018年頃から新規領域として半導体製造装置向けに展開します。今回伺った駒ヶ根工場では2018年に横形マシニングセンタH.Plus-405 を4台、2022年に5軸制御立形マシニングセンタMAM72-52V を1台設備しています。駒ヶ根工場の生産設備について日下部様にお話を伺いました。「H.Plus-405 は、従来の航空機向けと並行して、半導体製造装置向けの試作品に対応する目的で設備しました。深溝のワークを加工する際の、切粉詰まり対策として横形で検討しており、またワークサイズも当社のニーズにマッチしました。当然、他社の機械も検討しましたが、マツウラには当社で活用していた実績があります。新規事業の立ち上げは、ある種の挑戦ですが失敗は許されません。無人運転の実績や機械の使用感に対する信頼が、設備に至った決め手です」4台のH.Plus-405 に次いで設備されたMAM72-52Vについても日下部様に伺いました。「半導体製造装置向けで、傷を防止するためバキュームでクランプし加工するワークがあります。その加工を自動化するためMAM72-52V を設備しました。バキューム仕様へのカスタマイズ実績もあり、かつタワーパレットが標準搭載されている点は大きかったです。他社で同様のオプションを追加するよりも、結果として安価に設備することができました」現在設備されているMAM72-52V の周辺には広いスペースが確保され、床面は美しく塗り替えられています。増加する半導体需要に対応するため、同社では今夏にMAM72-52V を1台、H.Plus-405 を2台、新たに設備する予定です。

電気をモノに変える仕事

半導体製造装置向けで設備の増強を進める同社ですが、八尾社長はより多角的な視点で同社の将来を見据えます。今後の展望について八尾社長に伺いました。「鍵になるのは『電気をモノに変える仕事』です。半導体製造装置への展開もその道中です。電気の最も有効な活用方法は売電ではなく、モノに変えることだと私は考えます。電気は資源です。工作機械の動力は電気ですし、パンを焼くにも魚を冷凍するにも電気が必要です。電気と水があれば水素を作り出すことも可能です。駒ヶ根工場では1,000kWの太陽光発電システムを設備しています。会社の20年後を考えるのであれば、どのような形であれこの1,000kWをモノに変え、付加価値をつけて売る仕事をしているべきでしょう」


駒ヶ根工場ではマルチパレット機の増設を計画していますが、自動化だけがすべてではないと日下部様は考えます。「モノづくりに付加価値を与えるのは『人間力』です。自動化の有難みも、プログラムを手打ちする苦労を知るからこそわかることです。本当の意味で自動化を有効活用するためにも『人間力』の育成は必須です」と日下部様。インタビューと工場風景の動画は、記載のQRコードを読み取り、ご視聴頂くことができます。 また、当社ホームページでも公開中です。 ぜひご覧ください。

会社情報

会社名
平和産業株式会社 様
本社
〒108-0073 東京都港区三田2-2-18
船橋工場
〒273-0024 千葉県船橋市海神町南1-1544-10
TEL
047-435-2430
FAX
047-432-0787
駒ヶ根工場
〒399-4117 長野県駒ヶ根市赤穂330-13
代表者
代表取締役社長 八尾泰弘
設立
1967年9月25日
従業員
175名
事業内容
宇宙・航空機用部品、自動車用部品、発電用部 品、治工具及び金型の設計、製造並びに販売

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