No.161 IH 加熱専用食器 2011(平成23)年7月号掲載


 福井は日本のドマン中「日本のヘソ福井」第161回目は「IH 加熱専用食器」の話です。

 航空機では、機内食が収められ直接暖められる「フードカート」が使われています。今この「フードカート」内の仕切り板にIH が使われ直接調理できるシステムが開発されています。しかし、システムが開発されてもIH で加熱して使える食器やトレイは存在していませんでした。そこで伝統工芸である漆器技術を使って取組んだのが株式会社下村漆器店(福井県鯖江市)です。IH で加熱するために食器の底部にステンレスを内蔵していますが、熱膨張率が異なるためにヒビ割れてしまう、また食器の熱でトレイが変形するなど様々な問題が発生しました。同社が中心となり、福井大学、福井県工業技術センター、福井産業技術センターの協力を得て、150度の耐熱性を持ったIH 加熱装置対応食器の開発に成功しました。「伝統漆技術にナノ粒子多層成膜技術を融合し実現した耐久性プラスチック製食器」の開発として平成21年に第3回ものづくり日本大賞優秀賞に輝いています。

 機内食でスタートしたシステムですが、現在病院食の運営システムに応用されています。IH で部分加熱ができるのでトレイ上に温・冷料理を同時に作れます。また加熱時間を夫々の食器で設定できるので配膳時間に合わせた計画調理が可能になりました。料理方法も温めるだけから直接料理する方法が開発され、例えばお味噌汁は具と水、またご飯は米と水を入れておけば料理が可能となります。これにより、出来たてのおいしさ、更には食中毒の回避も可能となるので、今までの常識を覆す革新的なシステムとなっています。

 越前漆器は伝統工芸として1500年の歴史があります。漆塗りの伝統技術は24工程あり薄く均一に塗り重ねる技術です。世界でマネの出来ない伝統技術は、更に注目を集め最先端技術への応用までも検討されています。