No.12 ドル経済と英語文化 1984(昭和59)年7月号掲載


 日本は、世界の国々と手を携えていかなければ、一日も生きていけないということを、 最近ようやく実感として肌で感じています。

 アメリカ国内で通用しているドルという貨幣は、世界的に通用する”基軸通貨”として 貿易の決裁手段に使われ始めてから、もう30数年になりましょうか。
日本の円がいくら強くなったと力んでみても、ドルの前には、まだまだというのが実情でしょう。
いくらアメリカ以外の国に実力があるといっても、世界経済は、アメリカの顔色ひとつで どのようにでも変化しますし、それに対応しなければ生きていけないという、 ドル経済に完全に組み込まれてしまっているのです。

 一方、イギリスは経済力ではアメリカに負けてはいるものの、世界語になってきた ”国際語=英語”で世界を制覇しつつあります。
この世界語としての英語は、わが国の皇太子や、その他の国の首相やオーナー達が わざわざイギリスへ語学研修に出かけて行くように、英語を通じて得た伝統がある教育や思想、 物の見方、考え方が、世界をリードする人達の基本になっているのです。
こうして私たちは、知らないうちにイギリスの文化圏にヒタヒタと浸食されてきています。

 ドルという強力な通貨で世界を制覇し経済再生を図るアメリカ。
文化や教育、思想を言葉という道具で世界を制覇しつつあるイギリス―。
さて、日本は何を武器にして世界で生きていけばいいのでしょうか。