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シングルorダブル

令和8年春号のシングルorダブル

No.219世界覇権を狙う二大国

 昨年は、トランプ米国大統領が貿易収支の大幅な赤字対策として突然打ち出した相互関税、更にマシニングセンタには鉄鋼・アルミ派生品追加関税の課税発動があり、それらの対応に大いに振り回された一年でした。

 今年は、年初からベネズエラを攻撃、周到に準備していたとは言え、薬物テロ組織の首謀者だと主張するマドゥロ大統領夫妻をあっという間に拘束・拉致するという世界を震撼させた事件が起きました。またロシアや中国から守るために米国がグリーンランドを所有すべき、そのために武力行使も辞さないと表明したり、ウクライナ戦争の停戦・和平に介入しながらも、今度は核兵器を作らせないために深刻な体制危機にあったイランを米国とイスラエルでこの時とばかりに攻撃、イランもイスラエルに反撃し、周辺諸国も巻き込まれて被害を受け、ホルムズ海峡が封鎖、結果原油価格が高騰し世界経済のインフレ傾向に拍車を掛けています。

 先日元外交官の世界展望の講演を聴く機会があり、なる程と感じたことがありました。これまでルールを守る模範的なリーダー役だった米国、トランプ大統領が国際秩序の概念を吹き飛ばして自国第一主義を展開しやりたい放題してはいるが、その本質は米国が中国との対立関係を今後有利に進めるために時間をかけて米国の拠点強化を着々と狙うという、今までとは違う次元の世界覇権競争に入って来ているとの見解でした。

 中国は、製造強国を目指し技術革新による内需拡大と外交強化策「一帯一路」を推進、インフラ整備や貿易促進を図って欧州に至る広域経済圏を確立しようとしています。ベネズエラの電撃的な軍事攻撃作戦完遂を目の当たりにした習近平国家主席は、このままではぬるいと、近しい関係にあった人民解放軍幹部を汚職摘発で解任し、軍の掌握強化と軍備拡張を継続、2027年党大会向けて権力基盤を一層強化しています。

 先が見通せないのが当たり前になった今、決して表立って対立しない密かな二大国の覇権争いがバックグラウンドで進行していることを念頭におきながら、日本企業としての立ち位置で如何にビジネスを展開していくか考えなくてはと思った次第です。

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