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ユーザーを訪ねて

号のユーザーを訪ねて

No.163

製品カテゴリ:MX-520CUBLEX-63

あらゆる精密金属加工をお任せくださいと宣言する

株式会社ヒリュー精工 様

 今回のユーザーを訪ねては、浜名湖の西に面する湖西 市の湖西工業団地内にある株式会社ヒリュー精工を取材 いたしました。取材には白井繁充社長にご対応頂きまし た。昭和35年に白井社長の実父である白井弥市氏が、研 削加工を主体として白井研削工業所として創業しまし た。この工業団地のすぐ西側にはスズキ株式会社湖西工 場があります。湖西市は、自動車部品工業の盛んな土地 ですが、現在同社は電子機器部品製作を中心に業務を展 開しています。マシニングセンタ、NC旋盤、ワイヤー放 電加工機、汎用フライス、汎用旋盤、ボール盤など約 100台の機械設備を有し、“ 試作から量産まで、アルミ、 ステンレス等の精密金属加工は当社にお任せ下さい ”と自 社の特長をホームページに掲載しています。

マツウラとは汎用機からのお付き合い

 マツウラは昭和49年3月に日本初の立形マシニングセ ンタMC-750Vを開発しました。そして同年10月には MC-750Vの3号機を同社は設備されました。  

「創業当時は、自動車部品を行っていましたが、仕事 の幅を広げる為に昭和46年ごろから電子機器部品の仕事 を行うようになっていきました。そしてアメリカ向けの 特定品を受注しましたが、その部品には細い電線が使わ れるのでバリがあってはいけない、また非常に精度が高 く、更に軽量化を求められる薄い形状でした。当社の設 備は汎用機が殆どで、この部品に要求される精度と品質 の加工が出来ませんでした。白井会長はマツウラの汎用 機を使っていたので工作機械メーカーのマツウラは知っ ていました。そして、マツウラがマシニングセンタを開 発したとの話を聞き、まだ一般的ではなかったマシニン グセンタの導入を決断しMC-750Vを設備しました。 MC-750Vによりこの部品製作を行うことが出来、また当 社の業務内容を自動車部品から電子機器部品製作に変更 するきっかけとなりました。現在、自動車部品製作は九 州に移行しているので、もし自動車部品を作り続けてい たら九州に工場移転をしていた可能性があります。その 意味で、当社が湖西市で業務が出来るのもMC-750Vのお 陰です。老朽化によりMC-750Vを工場から廃棄する時 は、様々な思いがよみがえり、つらい思いをしました」 と白井社長。

「晩節を汚す勿れ」との戒めを胸に

 社長室に“ 晩節を汚す勿れ 平成15年11月1日 白 井弥市 ”との書が掲げられています。

 「白井会長が、会社を潰してくれるなとの思いで書いた ものです。この書を見て経営者として勇気を奮い起こし ています」。

 「ITが普及し始めた時に、光ファイバーケーブルの中 継器部品製作を行いました。大手通信機器メーカー各社 が光ファイバー敷設競争になり、すごい量の仕事が入っ てきました。更に海底ケーブルの部品も受注しました。 しかし、海底ケーブルは一度海底に沈めるとメンテナン スが出来なくなるので20年保証のため高精度を要求され ました。光ファイバーも海底ケーブルも部品にはバリが あると不良になるので切削加工ではなくワイヤー放電加 工にて製作することを決断。一度に20台のワイヤー放電 加工機と多数の量産対応自動機を設備しました。売上げ は、すごい勢いで伸びていきましたが、平成12年ITバブ ル崩壊が起こり、売上げが1/5まで減少。この書は、最 も厳しかった時期に創業者が書いたものです。賞与を出 せない程大変な時期もありましたが、難局を乗り越え現 在に至っています」と白井社長。

高齢者や女性が活躍する職場

   同社の加工は4つのグループに分かれています。旋盤、 ワイヤー放電、マシニング、そして研磨グループです。

 「当社は、お客様からの要望に対してノーとは言わな い方針を取っています。すなわち、困っている時の駆け 込み寺のように、なんでもやりますと宣言しています。 それゆえ難しい仕事の依頼が殆どですが、当社は断らな いのでお客様は安心して仕事を依頼して下さいます。ま た産業機械メーカーから、スマートフォンの部品を作る 産業機械に必要な部品製作依頼があり、その部品は極小 で、かつ高精度を求められます。それらの部品加工に は、研磨工程での熟練した技術が必要で、ベテランの職 人が行っています。彼らは60歳を過ぎて70歳に近い社 員もいますが大事な戦力です。彼らには好きなように やってくれと言って仕事を任せています」と白井社長。

 電子部品関連の部品では、加工後のバリがあると不良 となります。しかし、部品が小さい為に機械加工でバリ を取るには限界があります。同社では、20人の女性社員 が顕微鏡を使って、一つ一つ手作業でバリ取りを行って います。手間が掛かりますが、この徹底した品質管理が 同社の強みです。

5軸制御立形マシニングセンタ「MX-520」導入

 「何でもやりますと宣言しているので、様々な加工依 頼があります。最近では5軸加工が必要な部品もあり、 5軸制御のマシニングセンタを設備しなければと考えて いました。しかし、設備投資金額の問題もあり苦慮して いましたが、ものづくり補助金制度を使って平成26年 11月にMX-520を導入しました。国産5軸加工機メー カーは多くありますが、今までの信頼があり何も心配は いらないと迷わずマツウラに決めました」。

 「今年12月には5軸制御複合マシニングセンタ CUBLEX-63の設備導入が決まっています。この機械は マシニング加工と旋盤加工が一台で加工できる最新の加 工機です。この機械導入で更に仕事の幅が広がり、新規 ビジネス獲得に期待しています。技術的にはワンチャッ クでマシニング加工と旋盤加工が行えるので部品精度が 向上し、省力化も図れます。当社で働く息子に“ 仕事が ないのに何故導入するのか ”と聞かれたが、“ 将来ビジネ スの進展を考え決断した ”と答えました。設備導入後に は、営業と同行して私自ら営業活動を行うつもりです」 と白井社長。 *

 工場に入ると、昭和49年に設備されたMC-750Vは廃 棄されていましたが、それ以後設備されたMC-500V、 MC-760V、MC-800V、そしてMX-520など7台が稼動 していました。白井社長から、各機械に対する思いをお 聞きし、同社とマツウラの約40年以上の関係に感慨深い ものを感じました。工作機械メーカーとして、同社の歴 史と共に歩んできたことを嬉しく思った取材でした。

会社情報

会社名
株式会社ヒリュー精工 様
本 社
〒431-0441  静岡県湖西市吉美3425
TEL
053-579-0921
FAX
053-579-1586
代表者
代表取締役 白井 繁充
創 業
昭和35年5月
設 立
昭和57年10月
従業員
60名
事業内容
電子機器部品製作、治工具の製作及び・ 組付け、精密金属部品製作、超硬ゲージ 等製作、建設機械部品製作
URL
http://www.hiryuseikou.co.jp/

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