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ユーザーを訪ねて

号のユーザーを訪ねて

No.149

製品カテゴリ:CUBLEX-63

合成繊維製造機械で世界トップの技術力と実績を誇る

TMT マシナリー株式会社 様

 今回のユーザーを訪ねては、JR予讃線の松山駅から車で西に15分ほどにあるTMTマシナリー株式会社松山工場(愛媛県松山市)を取材しました。取材には山下章二工場長、酒井義則生産技術課長にご対応頂きました。合成繊維機械の競争が激化するなか、村田機械株式会社、東レエンジニアリング株式会社、帝人製機株式会社(現ナブテスコ株式会社)の3社が共同出資で平成12年にTMTマシナリーを設立しました。設立以前は、中国市場が拡大するにつれ、国内3社の合成繊維機械事業部は互いの過当競争で疲弊している状況でした。その解決策として、競合メーカー3社からの出資による会社設立となりました。今年は会社設立10年目です。「社員は約300名で、この内約100名が技術者です。ニッチな業界で特殊製品なので、全て自分たちで開発しています。エンジニアリング会社という選択肢があるのかも知れませんが、それではモノづくりが無くなり技術と現場が離れるので、現在の様に技術・製造を持っている企業が強みとなっています」と山下工場長。

京都テクニカルセンター、石山工場、松山工場

 3社の合成繊維製造機械事業部からスタートしていますので、各工場の立地場所は設立前とあまり変わっていません。しかし、各工場の特徴を活かし効率アップを図っています。石山工場は産業素材などに使われる特殊糸に関する機械や液晶をコーティングする特殊機械の生産、松山工場は衣料用糸の製造機械を担当しており量産が中心です。技術・開発は京都テクニカルセンターに集中・統合させています。

性能向上を続ける合成繊維製造機械

 合成繊維は、石油を原料として作られるポリエステルやナイロンが主な材料となっています。用途は衣料用の糸が主流ですが、産業資材の糸も増えています。車一台には約30キロの合成繊維糸が使われています。例えばカーシート、シートベルト、エアバックやラジアルタイヤの強化糸として使われます。その他にも釣り糸、網、ロープや建設土木用のジオテキスタイル等、多数使われおり需要は多彩です。同社は、合成繊維製造機械の総合メーカーとして、多様なニーズに最適な紡糸・延伸・巻取りシステムを提供し、それらの糸を使われる様々なお客様の付加価値と多様性への挑戦をサポートしています。

 松山工場で製作している合成繊維糸を作る工程を説明します。材料を溶融し、ミクロン単位の穴から押し出します。押し出された糸はホットローラーに巻きつけられ、加熱され(150度~200度)伸ばされます。この工程が延伸と呼ばれ、伸ばすことで強度が増します。その後巻取機でお客様の仕様に合わせた形状に巻き取ります。同社のお客様は、この巻かれた糸を使って様々な製品を作り出していきます。従って巻く形状はお客様の要望により多種多様になっています。

松山工場の主力製品「高速テークアップワインダー」

 糸をボビンに巻き取る高速ワインダーが同工場の主力製品です。PET,ナイロン用のツインヘッド高速テークアップワインダーが現在主流です。この機械の構造は、ボビンを回転させる2本のボビンホルダを持ち、巻取り速度は最高6,000m/minの高速で合成繊維糸を巻取ります。ボビンホルダは片持ち構造で、1本が満巻きになると自動的に予備のボビンホルダに入れ替え連続24時間巻き取っていきます。「業界が特殊であり、急成長もありません。50年以上同じ作り方で糸は作られていますが、様々な糸が開発されています。お客様の要求は如何に早く巻くか、巻き取られたパッケージを織物メーカーに如何に早く納品するかです。
その為にもどれだけ効率良くパッケージを作れるかが大事です。ボビンホルダの長さは当初は800mmでしたが、現在では1,800mmの製品も作られ、我々も信じられない状況です。またボビンに糸を巻く形状、固さ、端面を真っ直ぐにする技術など、様々なノウハウが当社にあります」と山下工場長。

5軸複合マシニングセンタ「CUBLEX-63 PC18」を設備

 「業界が特殊であり、急成長も無いので、今以上の工場拡張は考えていません。但し、革新的機械があれば入れ替えていく方針です。その方針に従って18面パレットを有するマツウラの5軸複合マシニングセンタCUBLEX-63 PC18を平成22年10月に設備しました。この機械をマツウラ本社で見学した時、“18面パレット付きだがコンパクトである”との印象でした。加工部品は、高速ワインダーのボビンホルダを支えるターレットテーブルという部品です。この部品は、巨大なベアリング構造で焼入れされた箇所に円筒コロを入れる形状の旋削加工があり、当社でも難しい加工です。導入前はマシニングセンタ3台とターニング1台で加工を行っていましたが、CUBLEX-63ではマシニング加工と旋削加工をこの1台で全て行っています。また、18面パレットにより長時間無人運転を実現しています。結果、仕上げ加工時間は、105分が65分に短縮され、35%効率アップを実現しています」と酒井生産技術課長。

合成繊維市場の将来性

 「当社市場の約90%は中国です。あまりにも中国に依存しているので、非常にハイリスクではないかと言われることもあります。インド、ブラジル等への拡販も行なっていますが、合繊繊維の世界生産量上位30社の6割以上が中国企業であり、必然的な構図となっています。中国の繊維メーカーは、一つの町に匹敵する広さの工場もあります。
20年前には一工場に出荷するワインダーはせいぜい数十台のレベルでしたが、近年では数百台、1,000台のレベルとなっています。また、世界のナイロン原料生産量は頭打ちになっていますが、中国では大規模のナイロン原料生産工場を建設中であり、この分野の成長が予想され2014年くらいまで現在の好況が続くと考えています」と山下工場長の言葉です。

 液晶TVや携帯電話など様々な日本の工業製品が、グローバル市場の中で技術的優位性があっても市場獲得が難しい状況にあります。そのような環境下にあり、競合会社3社が共同出資して誕生した同社の経営に、グローバル社会で勝ち抜く日本企業の一つのカタチを見た取材でした。

会社情報

会社名
TMT マシナリー株式会社 様
本社
〒541-0041  大阪府大阪市中央区北浜2-6-26
TEL
06-6204-8370
京都テクニカルセンター
京都府京都市伏見区竹田向代町136
石山工場
滋賀県大津市園山1丁目1-1
松山工場
愛媛県松山市北吉田町77
代表
代表取締役社長 三木 勝策
設立
平成14年4月
従業員
353名
事業内容
合成繊維製造設備の開発、設計、製 造、販売及びアフターサービス 機械部品・電子部品・電子デバイス製 造装置の設計、製造、据付、販売
URL
http://www.tmt-mc.jp/

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