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ユーザーを訪ねて

2018年7月号号のユーザーを訪ねて

No.174

製品カテゴリ:MX-330MAM72-35V

甲府盆地で半導体製造装置関連の組立据付更には研究開発まで行う

株式会社土橋製作所 様

今回のユーザーを訪ねては、JR中央線・石和温泉駅か ら、車で10分の距離にある株式会社土橋製作所を取材い たしました。工場のある笛吹市は桃の産地として有名であ り、会社の周りには桃の木畑が多く4月になると艶やかな 桃色の花を見ることができます。取材には土橋悦子社長、 藤原貢執行役員、柴田喜久男管理部Manager、細田隆製 造部Sub Managerに対応頂きました。 土橋社長の製造業への転身

同社は昭和26年に土橋社長の父である土橋保氏が山梨 県甲府市にて自宅の風呂場を改修し旋盤を1台入れて創業 しました。ねじの製造からスタートし、音響部品やレコー ドのトーンアーム製造に移行、レコードがCDに転換した 頃に、現在の主力事業となる半導体製造装置の部品製造に 至っています。

土橋社長の製造業への転身

「私は昭和62年に実家に戻り当社に入社しました。円 高不況の影響で仕事は全くなく、金融機関からも融資を断 られ倒産寸前の状況でした。お取引のあった大手電気機器 メーカーの営業を担当し、全く知らない世界で戸惑う中で したが、『大きな声で挨拶する』『自社の名前を言ってく る』『自分の限界まで頑張る』、この3つを決めて、毎日 営業先へ通いました。挨拶だけして帰るという状況が何週 間も続きましたが、私が諦めたらこの会社はつぶれるとの 思いで毎日通い、やっとA4の図面2枚を頂くことができ ました。帰りの車の中で涙がこぼれました。それからも多 くの葛藤がありましたが、どんな状況でも精一杯頑張り、 相手に自分の本気の思いが伝われば必ず形になると信じて 歩んできました。そしてお客様や協力会社・取引先など多 くの皆様に育てられ、たくさんの課題にも鍛えられ、ここ まで来ることができ、すべてに感謝です。今でも、その時 のA4の図面2枚が私の原点です」と、入社当時について 語る土橋社長。

部品加工から設計・製作・据付・量産フォローまで 一貫した体制のモノづくり企業へ

「平成12年に現在の所在地に事業所を移転し、私が代表 として経営を担うこととなりました。それまでは部品加工 のみを行っていて半導体業界のシリコンサイクルと言われ る4年に1回大きな波が来て、落ちるのもV、上がるのも V。これを繰り返しており、半導体市況の反動をそのまま 当社も受けていました。もう一つの柱を創り、経営の安定 化を図りたいとの思いで、設計者を一人採用し設計製作業 務をスタートしました」

「設計製作部門は現在19名が在籍し、自動化ラインや専 用機などを機械・電気・ソフト設計から生産・据付まで行 います。18年間で納品したお客様は全国におよび、困難 なことは多いですが学びと喜びがあり、出荷する装置や思 い出深い機械設備は娘をお嫁に出すような思いになりま す」と土橋社長。

社是「魂を込めて、モノづくり、人づくり!」

「人間の持っている力は無限の可能性があります。だか らこそ、自分を信じ、自分の魂や命に問いかけて人生を生 き、仕事をしていけば必ず良い方向に向かいます。技術を 磨くと共に、魂で考え、魂を込める。頭で考えるだけでは 計算だけになってしまい、より良い人生にならず、良いモ ノづくりはできません」

「既存のお客様ばかりでなく、ネット経由で個人や他業 種のお客様からの依頼もあります。例えば、バイクの部品 を作って欲しい、これがあると助かる、何とかしたいな ど、問い合せしてくれる方は思いを込めています。お役に 立てることは幸せで、会社が儲かればよいではなく、志を 高くより良い世の中にするために当社があり、そういう意 思のある志の高い社員を育ててDOBASHIの企業文化と共 にバトンを渡していきたいです」と、社是を熱く語る土橋 社長。

 最近では、医療・介護などの現場の声からお役に立て る機器の研究開発にもチャレンジし始めています。

5軸制御立形マシニングセンタ MX-330 PC10、MAM72-35Vを設備

 同社は10面パレットを有するMX-330 PC10が2台と32 面のパレットを有するMAM72-35Vを1台設置していま す。

「私は技術のことに詳しくありませんが、ずいぶん前か ら5軸加工機の導入を社内に提言していました。しかし、 現場はなかなか納得せず、5軸加工は必要ないとの意見ば かり。そのような状況で新しい建屋を建設する際に、私は これから5軸加工に向かわなければならないという思いの 中、導入する機械を検討しました」

「機械の選定ではこれから先々のことを考慮し、マツウ ラに決定しました。決め手は、5軸機でパレットがあり、 無人化させることができる点です。現場での使い勝手で は、操作性や接近性を重視していたので、マツウラが最適 でした。平成29年3月にMX-330 PC10を導入、その後半導 体の受注が急激に増え、2台目のMX-330 PC10を同年9月 に導入しました。5軸加工機は、携帯電話をガラケーから スマホに変えると戻れないように、1度導入するともう戻 れません。10工程以上が1、2工程に集約されることは画 期的です」

「平成30年3月にはMAM72-35Vを導入しました。32面 のパレットにより長時間無人運転するので、設備して良 かったと思っています。これだけ纏まった投資は過去にな く、社員からは『社長、大丈夫でしょうか?』と心配する 意見がありますが、『投資した設備は社員皆が頑張った成 果ですよ』と伝えています」と土橋社長。

進化したモノづくりへのチャレンジ

「これから労働人口が少なくなる中でモノづくりをどう していくのか、皆で知恵を出し合い自動化・無人化の次の ステージへ進めたいです。その為には、創造力があり、熱 い魂を持った魅力ある人財を育てることが大切だと考えて います」

「まだまだ発展途上、会社を創り上げていく喜びを社員 一人ひとりが感じられる企業にしたいです。その方向性を 示すのがトップの役割。当社はこれからAIやIOTを活用し て、更に進化したモノづくりにチャレンジしていきます。 ただ、どんなに優秀なロボットを活用しても、理念やビ ジョン・ミッションを考えるのは人です。その思いに共感 し共有できて感動が生まれます。だからこそ、人を大切に し、人が輝く、みんなを幸せにできる100年企業を目指し たいです」と土橋社長の言葉です。


 家業である土橋製作所を支えてきた土橋社長。取材の 中では、“魂”という言葉を何度も強調しながら、人づく りやモノづくりに対する考えをまるで熟練の職人のよう に熱く語っていた姿が印象的でありました。土橋社長が 締め括りに「より良い人生の為の仕事をしてほしい」と いう社員に対するメッセージは、我々にとっても働き方 について考えさせられる一言でありました。

会社情報

会社名
株式会社土橋製作所 様
本社
〒400-0851 山梨県甲府市住吉4丁目19番29号
工場
〒406-0824 山梨県笛吹市八代町増利五反田365-1
TEL
055-265-5155
FAX
055-265-1661
役 員
代表取締役社長 土橋悦子
創 業
昭和26年2月1日
設 立
平成元年9月1日
従業員
76名
事業内容
精密機械加工部品(主に半導体製造装 置関連)、各種産業機器設備の設計開 発及び製作

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