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ユーザーを訪ねて

2019年4月号号のユーザーを訪ねて

No.177

製品カテゴリ:MX-330MX-520

精密加工技術と自動化技術で、新たな価値づくりにチャレンジしている

三和ロボティクス株式会社 様

 今回のユーザーを訪ねては、中央自動車道路の飯田イン ターチェンジから車で南へ15分の距離にある三和ロボティ クス株式会社です。取材には、沢宏宣社長と精機事業部の矢 澤紀彦製造部長、唐沢純生産技術部長にご対応頂きました。 工場は、東に南アルプス、西に中央アルプスがそびえ、近く を天竜川が流れる景勝地に位置しています。

 沢社長は3代目です。創業者は祖父の沢唯四氏で、ター レット旋盤による油圧ホースの金具製造で創業しました。創 業時の会社名は三和精機製作所で、「三和」の意味は、経営 の基本に、心(将来思想)、技(技術力)、体(企業体力) の三位一体の調和を大切に考え命名したとのことです。2代 目は父の沢章好会長で、同社の創業時から参画されていま す。

 沢社長は大学卒業後に大手機械商社で4年間営業として働 き、平成13年に同社に入社、平成22年社長に就任されまし た。そして平成24年に会社名を三和ロボティクスに商号変 更しています。

「親は後を継げとは言いませんでしが、周囲からの期待は 感じていました。自分の力を試したい気持ちが強く、出来る だけ延ばしたいとの思いで、機械商社に入社しました。将 来、後を継ぐというよりも自分で創業するだけの力をつけた いとの思いで4年間様々なお客様と仕事しました。その経験 が現在の経営に役立っています」と沢社長。

精密部品加工を行う精機事業

 精機事業部では、切削加工(5軸加工、複合加工、NC旋 盤加工)、鋳物・二次加工、研磨加工(平面研磨など)を受 託しています。

「精機事業部の社員は70名程度で、加工機は65台設備し ています。エネルギー関係、産業機械、光学分野など幅広い 分野から受注しています。地域的に愛知県と静岡県が中心で す。以前は社長が担当していましたが、光学機器メーカーさ んは矢澤部長、そして産業機械メーカーさんは唐沢部長が責 任者になるように体制変更しました」と沢社長。

 矢澤部長は「お客様窓口が私になり、業務内容が一変し、 毎日メールでのやり取りが増えました。加工責任者の私が、 直接お客様の担当者と対話することで、その部品が使われる 用途を理解できます。そのことにより最適な生産方法で加工 し、信頼を得ています」と。

 唐沢部長は「産業機械のメインのお客様は浜松市や豊田市 の大手メーカーで、実装機部品や塗装用ロボットのヘッド部 品を多く加工しています。図面だけでは読み取れない品質 は、お客様の担当者との対話により解決しています」と。

3台のMX-520と2台のMX-330を設備

 平成23年に5軸制御立形マシニングセンタMX-520を 1台、平成27年に2台を設備。更に平成30年に2台の MX-330を設備されています。

 「MX-520の設備以前は、他社の3軸マシニングセンタと、 中古の5軸マシニングセンタを使って複雑な加工を行ってい ました。しかし、機械の老朽化への対応と、更なる加工品質 向上を目指し、新規5軸マシニングセンタが必要との判断で 平成23年にMX-520を設備しました。多くの部品は、ブ ロックの材料から削り出し加工するので5軸加工機が威力を 発揮しています。加工精度も安定し使い易いので、社内では 5軸加工や複合加工がトレンドとなっています」と沢社長。

「MX-520は加工ワークへの接近性が良く、すごく使い易い 機械です。日々のメンテナンスである切粉処理の良さも実感 しています。またアンギュラーヘッドを使った加工があり、 衝突防止機能により安心して加工出来ました」と唐沢部長。 「光学系の加工では、サイズが小さいものが増えてきまし た。生産量は、月産100個、200個もあれば、1000個も あり多品種変量生産です。それに対応する為に平成28年に 2台のMX-330を設備しました」と沢社長。

自社の自動化からスタートしたスマートファクトリー事業部

 バブル経済崩壊が同社の第一のターニングポイントになり ました。大変苦しい状況の中、部品加工以外で付加価値を得 る事業を立ち上げようと平成4年に自社製品ゲートカットロ ボットの製造販売を開始しました。このロボットは射出成形 の後工程で使うロボットで、同社のロボット製作の原点とな りました。それ以後も自社工場の改善から生まれた製品の開 発を続け、平成7年にディスク型小型油膜回収装置、平成 14年に横型タッピングボール盤を開発販売しました。自社 製作の道具を自社で使用して評価し、優れた道具を製品化し たものです。

「更にお客様の信頼を得られるようなQCD競争力をつける ためにはロボットは不可欠であると考えました。そして自社 の自動化・ロボット化をもっと強化し、それを経営の柱にし ようと平成24年の会社名を三和ロボティクス株式会社に変 更し、スマートファクトリー事業部を新設しました」と沢社 長。

ロボットで自動化を進化させる同社工場

「会社名変更のもう一つの理由は、名前を格好よくしない と若い人が入社してくれないという思いもありました。その 効果があり、ロボットに関する仕事ができると若い人が入社 してくれています。核となる人材は関西からロボット技術の キャリアとして、Iターンで入社しています。スマートファ クトリー事業部は、営業サービスを含めて30名の陣容で す。特に開発には10人の設計者が働いており、当社規模に しては重点を置いた編成です」と沢社長。

 平成27年にデンマークのユニバーサルロボット社の認定 システムインテグレータに登録されています。自動化の主役 であるロボットはロボットメーカーから購入し、システム アップは同社が担当します。様々なワーク品種に対応したシ ステムの開発が特徴になっています。工場では、旋盤のワー ク交換を自動で行うマルチローダーシステム、小型マシニン グセンタ用のパレットローダシステムなどが実稼働していま す。マツウラの2台のMX-520と他社のマシニングセンタが 1台で構成された加工ラインでは、加工が終わるとロボット が人と同じ動作でドアを開けワークを交換します。そしてド アを閉めてサイクルスタートボタンを押して自動運転を起動 しています。古い機械でもロボットを使って自動化できるこ とを実証し、同社工場はショールームとなっています。

 更に機械の稼働状況を一元的にモニタリングするために IOT端末を自社開発して各機械に取り付けて試験運用をして います。この端末は機械の稼働状況だけでなく、クーラント 循環経路に設置したセンサーからデータも収集してリアルタ イムに監視しています。

 「これまで5軸加工と複合加工を進めてきました。これら の加工機械は自動化の可能性が高いので更なる自動化を進 め、人の能力を活かして元気な職場を目指します」と沢社 長。


 最新モデルの工作機械しか自動化は無理と思っていました が、同社は旧モデルの工作機械もロボットを駆使して自動化 ラインに組み込んでいました。ロボットによる自動化の可能 性が広がっていると実感した取材でした。

会社情報

会社名
三和ロボティクス株式会社 様
本 社
〒399-2431 長野県飯田市川路7576-3
TEL
0265-48-6555
FAX
0265-48-0778
役 員
代表取締役社長 沢 宏宣
創 業
昭和39年1月
設 立
昭和44年5月
従業員
112名
事業内容
精機事業部、スマートファクトリー事業
URL
https://sanwa-robotics.co.jp/

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