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ユーザーを訪ねて

号のユーザーを訪ねて

No.157

製品カテゴリ:MAM72-35V

試作単品加工から自動機械の設計組立てまで行うモノづくり総合企業を目指す

サワダ精密株式会社 様

 今回のユーザーを訪ねては、JR姫路駅から車で南西へ20分ほどのサワダ精密株式会社を取材しました。取材には澤田洋明社長にご対応頂きました。澤田脩一会長が昭和59年に創業。今年6月1日に長男である澤田洋明氏に社長をバトンタッチされました。澤田社長は子供のころ「僕は鉄はやらない」と話していたそうです。大学で経済学を学び、4年間地元の信用金庫で仕事をされ27歳で同社に入社しています。「入社する気持ちに変わったのは、大学時代にサワダ精密で夏休みのアルバイトをした時でした。初めて自社工場が完成し働くメンバーが新しい工場で仕事が出来ると活き活きとしていました。その姿を見てこの会社で働きたいなと思いました」と澤田社長。澤田会長は、66歳で社長を引退すると常々話されており、公言どおり66歳で会長に就任されました。当日行われた社長交代式典では、極秘にアルミ材から削り出しで特製バトンと創業当時のマシニングセンタのレプリカが作られ、バトンは会長から社長に渡され、レプリカは会長にプレゼントされました。

ユニークなホームページ

 同社は、本社工場を含め4つの工場を有しており、いずれも歩いて回れる距離にあります。本社工場は、3D曲面を含む試作単品加工が主体。G工場は、3D曲面・中ロットリピート加工が中心。ナノ工場は、形彫・ワイヤー放電加工、平面・内外径円筒研削、NC成型研削加工が行われ、そして大町工場のエンジニアリング事業部は自動化設備の設計・組立・設置までを行っています。ホームページを見ると各工場の責任者が武将のアニメ姿で紹介されチームの強みを表現しています。例えば本社工場の“チャレンジ-P”のチームリーダー米嵩氏は「目指せ!CAMワンクリック!!単品・短納期が好物と呼べる日まで、日々精進して参ります」と道場の師範代で紹介されています。また“サワダ精密の強み”の項目では、「技術者の顔、設計者の顔、情報者の顔、コーディネータの顔、いろんな顔が集まって、お客様のご要望にお応えします。私たちがサワダ精密のハーモニーを奏でます」と書かれ、社員の写真が掲示されています。全員が主役という企業文化を表現しているホームページです。

生産設備は共に働く仲間

 同社は、お客様のご要望に対応するために多数の加工機が設備されています。立形マシニングセンタ15台、横形マシニングセンタ4台、CNC旋盤3台、複合加工機2台、5軸加工機7台、ワイヤー放電加工機4台、型彫放電加工機8台、平面研削盤5台、NC成形研削盤3台、円筒/インターナル研削盤2台、NCフライスとフライス各1台、3次元測定器2台です。それら全てに愛称が付けられています。機械に愛称を付ける制度は澤田会長のアイディアで、目的は機械を大事にする習慣の定着です。ミーティングでも愛称で機械は呼ばれ、正式名を忘れてしまう場合もあります。新しい機械が設備されると、その機械を見て社員がおのおのに名前を考えます。全社員の前で命名理由のプレゼンテーションを行い投票で決定されます。自然と機械が擬人化され大事にする社風が生まれています。「中古機械を設備した時、その機械のひどい汚れに驚く場合があります。調べると倒産した会社所有のもので、機械を大事にすることの重要性を肌で感じました。その意味で当社は良い制度を持っていると改めて実感しています」と澤田社長。

大手企業との直接取引

 姫路市には大手企業の工場が多数あります。同社では、それらの企業、また関連企業と直接取引を行っています。創業当時は、町工場と商社を通じて部品加工を行っていました。ある時商社の担当者より明日の朝までに絶対にいる仕事だと言われ徹夜で仕上げました。朝になっても担当者が取りに来ない。澤田会長が連絡を入れ昼過ぎに取りに来たので大喧嘩になったそうです。その時より澤田会長は「直接取引が出来るようになりたい」と決意されました。

 また、人財育成の方法として客先担当制度を立ち上げました。機械加工の担当者が自ら仕事先との打ち合わせ、加工、納品まで全てを行います。機械の稼動を考えると非効率ですが、人財は育ちました。現在各職場のリーダーや営業は、その時の経験者です。今では機械台数も多く、この制度は廃止し専任の営業スタッフを配置しています。(同社では人材を人財と表記しています)

5制御立形マシニングセンタ「MAM72-35V」導入

 同社では、試作や単品加工が主力なので、夜間無人運転出来る加工機はありませんでした。「夜間無人で動く加工機を探していた時に、京都にある山本精工株式会社を社員旅行で見学。その工場で稼動するマツウラの5軸制御立形マシニングセンタMAM72を見て、これで夜間無人運転できると直感しました。当社は平成16年に大阪中小企業投資育成株式会社より資本参加を受けており、調べると松浦機械製作所も同じメンバーと分かり、この機械で間違いないと導入を決断しました」と澤田社長。平成24年9月に5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-35V」を導入、愛称はビッグ・マムと命名されました。ビッグ・マムの由来は、漫画ワンピースに登場する巨大なキャラクターの名前で、“マム”は機械名の“MAM”をかけています。ホームページでは「サワダで一番期待されているマシニング」と書かれています。取材時には、MAM72-35Vの各パレットにステンレスの角材が取り付けられ、コンプレッサーに使用するブレードを加工していました。

新規事業のエンジニアリング事業部

 澤田会長を含めて9名でエンジニアリング事業部を1年前に立ち上げています。「澤田会長は、部品加工するなら、その源流である設計をやりたい。設計をするなら組立を行って装置を納めたいとの希望を持っていました。基礎が出来てきたので会長が責任者でこの事業部を立ち上げました。目指しているのは自動化設備で、車の部品を作る自動化ラインなどを行いたいと思っています」と澤田社長。

 同社には、機械加工の経験者はいますが、設計や電気の知識を持った人は皆無でした。そこで大手企業の定年退職者を“匠”という名称の役職で応募をかけ3名の方を採用して人財育成をお願いしました。この取組みは地元新聞にも取り上げられ、現在も1人の匠が継続して仕事をしています。「姫路市の近郊には大手企業の工場が多数あるので、実力さえあれば受注が取れるチャンスがあると思っています。加工や設備などモノづくりで困った時にはサワダ精密に相談すれば解決出来るという企業を目指したいと思っています」と澤田社長。

 澤田社長は36歳、社長就任3ヶ月目での取材でした。「当社には、皆でやるのではなく、皆がやるとの言葉があります。社長として、その実現に向けて社員一人ひとりが主役として仕事が出来るように、社員と語り夢を共有していくつもりです」と抱負を語る澤田社長でした。

会社情報

会社名
サワダ精密株式会社 様
本社
〒671-1154 兵庫県姫路市広畑区吾妻町1-39
TEL
079-239-2225
FAX
079-239-4448
G工場・ナノ工 場・溶断工場
姫路市広畑区吾妻町1-35
エンジニアリング 事業部、大町工場
姫路市広畑区吾妻町1-58-1
代表者
代表取締役社長 澤田 洋明
創業
昭和59年4月
設立
昭和63年11月
従業員
57名
事業内容
金属加工(切削、研削、放電)、 各種自動機・試験装置・検査装置 の設計・製作・組立
URL
http://www.swdpre.co.jp/

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