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ユーザーを訪ねて

2023年新春号のユーザーを訪ねて

No.192

製品カテゴリ:MX SeriesMX-520MX-850VX-1000

5軸機活用による効率化でハード

株式会社ISSアートマーク 様

 

今回のユーザーを訪ねては、山陽自動車道の福山東ICから車で15分の距離にある株式会社ISSアートマークです。同社では金属や樹脂の加工を手掛けており、アルミをはじめとする非鉄金属の加工や、樹脂溶接において高い技術力を誇ります。特に半導体分野で豊富な納入実績を持ち、半導体製造に欠かすことのできない洗浄装置の部品加工を得意としています。同社は1987年に『有限会社アート・マーク』として設立され、その後『株式会社アートマーク』へと組織変更されます。2021年にISSリアライズ(旧:井上特殊鋼)との資本提携に伴い、現在の社名となりました。鉄系の加工品 を得意とするISSグループ内において、非鉄金属や樹脂の加工という独自のポジションから、製造機能の一翼を担っています。取材には広崎哲郎 常務取締役、ならびに安井克彦 第一製造部長にご対応頂きました。広崎常務は学生時代に物質科学を専攻され、1997年に当時の井上特殊鋼に入社されます。入社以来20年以上、営業一筋でキャリアを積み上げられ、大阪や山陽、東海など様々なエリアのブロック長を歴任されます。2021年1月、同社のISSグループ加入に伴い現職に就任されました。安井部長は機械工学科を卒業した後、2000年に同社に入社。以来、マシニングセンタや旋盤、複合加工機など様々な機械のオペレーションに携わった経歴をお持ちです。

創業当時を偲ぶ社名

同社は自動車整備士の資格を持つ先代社長が1986年に創業した企業で、創業から間もなくは個人での樹脂加工事業を営んでいました。同社の成り立ちについて広崎常務にお話を伺いました。「創業当時は主に工業用の銘板を製造していました。『アートマーク』という社名も、銘板メーカーでは一般的な『〇〇マーク』という屋号に、電話帳の索引で最初に並ぶように『ア』から始まる単語を組み合わせたことに由来しています。創業から暫くは銘板や彫刻を主とした事業を展開し、徐々に非鉄金属や樹脂の加工技術を蓄積していきました。現在の主力である半導体分野に参入したのは、俗に『インターネット・バブル』と呼ばれる1990年代から2000年代初期のタイミングです。以来、半導体関連でのお取引先が次第に増え、現在に至ります」

リーマンショックからの回復

順調に取引先を増やし、2007年までに4棟の工場を構えるまでに成長した同社でしたが、程なくしてかつてない不況に見舞われることとなります。「私が入社した2000年頃、当社では半導体製造の分野で使用される直動部品が主力製品となっていました。以前から半導体市場の景気変動に左右される形で、当社の経営にも何度か浮き沈みはありましたが、2008年頃から始まったリーマンショックの影響は、とりわけ大きなものでした。ある部品では月産15万個の受注が、月産7千個まで落ち込んだ程です。2010年頃までは非常に苦しい経営を強いられることになりました」と当時を振り返る早川社長。苦境に立たされた同社でしたが、持ち前の提案力と短納期対応における取引先からの支持は根強く、徐々に業績を回復させます。近年は順調に売り上げを伸ばし、2021年11月には、工場4棟の生産機能を集中、及び増強するため、愛知県一宮市に本社工場を移転しました。新社屋は従来の本社工場と比べ、敷地面積は2.3倍、延床面積は3.9倍の規模を誇ります。

多品種少ロットを支えるマツウラ機

同社では現在、立形マシニングセンタMC-1000VF が2台、5軸制御立形マシニングセンタMX-520 が1台、MX-850 が2台、計5台のマツウラ機が活躍しており、主にアルミ加工品の多品種少ロット生産に役立てられています。同社とマツウラのお付き合いは1989年に設備した立形マシニングセンタMC-510V から始まりました。当時のエピソードを安井部長に伺いました。「MC-510V は私が入社して最初に扱った機械です。また私にとっては初めて触れるマシニングセンタでもありました。そのため、使用感について深く言及することは難しいですが、マシニングセンタという機械に対して、自動で動いて綺麗なモノを加工できる、率直に面白い機械だと感動したことを記憶しています」その後、同社ではFX-5 を1 台、MC-1000VF を2台と立形マシニングセンタを増設します。「高速回転主軸を備えるマツウラ機は、当社の得意とするアルミ加工との親和性が非常に高いです。MC-510V での実績もあり、立形の増設を検討する際は自然とマツウラ機を選択するようになりました」と広崎常務。

5軸機による工程集約

2011年には生産効率の向上を目指し、同社初の5軸機となるMX-520 を設備します。「それまで立形で対応していたワークの工程集約を目的として、5軸機の設備に至りました。5軸機による恩恵は大きく、立形では2工程を費やしていたワークも1工程に集約することができるようになりました。また、より複雑なワークに対応するうえでも5軸機の存在は大きな武器となっています。MX-520 で確かな実績があったため、その後、同じく5軸機のMX-850 を2台設備する運びとなりました」と広崎常務。「立形から5軸機への移行はスムーズに進みました。当社では割り出し加工をメインに行っているため、同時5軸加工からスタートする場合と比べ、移行にあたってのハードルは低かったように思います」と安井部長。自身を『マツウラファン』と称する広崎常務は、これまで設備してきたマツウラ機について次のように評価します。「創業当時から一貫して当社がお客様から評価頂いている点は、煌めくような加工面の仕上がりの良さです。最新の5軸機はもちろん設備から25年以上経過したMC-1000VFでさえ、当社が求める加工面に仕上がっていることからも、マツウラ機の性能の高さが伺えます」広崎常務の言葉どおり、同社では引き続きマツウラ機の増設を予定しており、2023年夏にはMC-1000VF の後継機として、2台の立形マシニングセンタVX-1000 の設備を控えています。

GibbsCAM の活用で広がる対応力

同社はマツウラが提供するGibbsCAM のユーザーでもあります。「以前は旧式の他社製CAMを使用していましたが、多様化する顧客ニーズに対応するためCAMの増設が必要となりました。創業当初と比べて会社の規模も大きくなり、データを扱えるスタッフが増えたことも増設を後押しした要因です。既設のマツウラ機との相性を考慮しGibbsCAMを選択しました」と安井部長。現在、同社では5シートのGibbsCAMを設備しており、近く6シート目の増設も予定しています。複数のCAMを活用する利点について、広崎常務は次のように語ります。「量産に重きを置く場合は複数のCAMを設備するメリットは小さいでしょう。しかし当社のように多品種少ロットを強みとする企業では、複数のCAMで平行してデータを作成することで、対応できる仕事の幅が格段に広がります。マツウラ機をリピートしている背景にはGibbsCAMを上手く活用できていることも大きく影響しています」

『自社に見合う仕事』を見極める

取材の終わりに同社の展望について伺いました。「現在、主力となっている半導体分野については今後も必要とされ続ける領域だと考えています。既存顧客の多様化する要求に高い次元でお応えするため、より良いモノづくりに邁進していきます」と広崎常務。また、同社では既存領域に留まらず新規領域の開拓にも注力するとのことです。「当社の得意とする非鉄金属の加工技術を活かして、食品や医療などの分野で付加価値の高いモノづくりに取り組みたいと考えています。新規領域の開拓においては『自社に見合う仕事か否か』を見極めることを意識しています。販路の拡大を図ることは企業にとって重要です。しかし、不得手な領域に闇雲に進出してしまえば、現場の作業者も疲弊することになります。自社の強み、当社の場合は非鉄金属加工のノウハウを活かすことのできる仕事を見極め、企業が潤うことを念頭に置いた事業開拓に取り組んでいきます」と広崎常務。


「モノづくりへの要求は高度化し続ける中、昔ながらのハードワークでカバーすることが難しい時代になりました。限られた時間で如何に成果を上げるかが、今後の製造業の最重要課題です。当社では今後も、より良い設備を取り入れることで生産性の向上に繋げたいと考えています」と広崎常務。インタビューと工場風景の動画は、記載のQRコードを読み取りご視聴頂くことができます。 また、当社ホームページでも公開中です。 ぜひご覧ください。

会社情報

会社名
株式会社ISSアートマーク 様
本社
〒720-2113 広島県福山市神辺町旭丘51番地
TEL
084-960-1020
FAX
084-965-1225
設立
1986年2月
従業員数
49名
事業内容
アルミなどの非鉄金属加工、樹脂材料の 溶接加工

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