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ユーザーを訪ねて

号のユーザーを訪ねて

No.132

製品カテゴリ:MAM72-35V

IT技術とCAD/CAM技術を駆使し“ものづくり”の革新を目指す

株式会社キャムブレーン 様

 今回のユーザーを訪ねては、JR新小岩駅から北東へ車で5分ほどにある株式会社キャムブレーンを取材しました。
取材には創業者であり、現社長の太田実氏に対応頂きました。
平成5年10月に創業し、今年10月で15周年となります。
工場は3ヶ所で、主力工場は江戸川区にある「東京テクニカルセンタ」です。
その他は葛飾区に「葛飾テクニカルセンタ」と「葛飾工場」です。
創業時から高機能CAD/CAMシステムのCATIAを導入し、理想とする企業像を「コンピュータを操る頭脳集団」と定め、 企業名を“CAMを扱う頭脳(ブレーン)”との意味で「キャムブレーン(CAM BRAIN)」と太田社長が命名。
40台以上のマシニングセンタ、NC旋盤、放電加工機を25名の少数精鋭で駆使し、自動車、航空機、光学関連など “日本のものづくり”が得意とする産業の中で部品加工に対応している最先端企業です。

創業はお客様のサポートで実現

 太田社長は、商業系の高校を卒業し、事務系の仕事を経験した後に、放電加工で金型製作を行っている会社に就職。
最終的には20台の機械を一人で任される工場長でした。
「当時は独立する気持ちはなかった。その会社が事情により廃業することになった時に、数人のお客様より今までの仕事ぶりを評価され、 独立を勧められたことが創業のきっかけでした。 そのお客様が保証人となって創業時の資金調達を助けてもらい、平成5年10月に彫刻屋の10坪を間借りしてスタートしました。 江戸川区や墨田区はおもちゃなどのプラスチックやゴムの金型が多く、また金型産業は分業化でノウハウが細分化しているので、 頭脳部であるCAD/CAMに特化しようと考え、CAD/CAMの最高クラス“CATIA”を設備しました。 そして、この方針を社名に反映しました」と創業当時を語る太田社長。

マシニングセンタは5軸加工に特化

 創業当時は金型のマスタやキャビネット関連部品を製作。
しかし平成12年の不景気で金型の仕事が激変し、部品加工に方向を変えました。
現在、24台のマシニングセンタを設備し、その殆どが4軸、または5軸対応になっています。
「コストダウンを毎年要求される。3軸のマシニングセンタで工程を分けて加工すれば、人の手による段取りでミスが出やすい。 すなわち5面加工が必要な部品は、5倍間違う可能性があるが、5軸機械であれば、ミスをする可能性を1回に抑えられる。 また1面が2時間の加工時間であれば、5面では10時間連続稼動が可能になり、稼働率が格段に向上する。 このことに気がつきマシニングセンタの設備は、殆ど4軸・5軸加工機を設備しました」と太田社長。

 今年4月にマツウラの32面パレット、主軸回転数2万回転仕様の5軸制御立形マシニングセンタ「MAM72-35V」を導入。
「今までに5軸機を13台設備していますが、5軸加工技術の向上を目的に “MAM72-35V”を導入しました。 同機は5軸専用加工機として設計・製作されているので、加工精度は高く、安定しています。 また32パレット装備なので、12ヶ月7200時間稼動を目標に取り組んでいます。 お客様から要求される部品精度は、毎年厳しさを増し、またコストは中国製並の価格を求められています。 この両面の要求に応える鍵としてMAM72に期待しています」と。

 メーカー企業は激しい開発競争の中で、開発スピードのアップと機密保持のため、これに対応できる協力企業を開発拠点のある東京に求めています。
東京では、ものづくりが廃れていると言われる中で、同社はこの要求に応える体制を作り、確実に実績を上げています。
例えば機密保持に関しては、製造業でまだ取組の少ない情報セキュリティ・マネジメントシステム(ISMS)の本年10月取得に向けて活動を開始しています。
この認証は、重要情報が適切に扱われることを意味し、試作図面など機密情報が確実に管理運営されるものです。

大学で講義を行う太田社長

 太田社長は、空洞化する日本企業の状況を見て、経営者としてアメリカの経営学を学びたいと決意。
しかし、留学する時間もないので、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院がインターネットで経営学を学べることを知り即実行。
ある日、日本の中小企業の研究をレポートしたところ、担当教授より大変面白いとの評価を得て、日本の中小企業の強さを再認識しました。
「資源のない日本が、ものづくりで世界のトップクラスにいるのは、我々の様な中小企業がメーカーをしっかり支えているからです。 中小企業が、さらに企業力をつけるために技術と経営をしっかり結びつけていかなければいけない。 その後も勉強を続け、縁あって三重大学でMOT(技術経営)の講義を行っています。 “日本の中小企業が経営というものをしっかり学べば、日本は更に強くなる”との思いで、 実際にキャムブレーンで行っている経営を事例研究として学生や社会人に教えています」と太田社長。

社内での人材育成

 太田社長自らが先頭で学び続けることで、学習する組織作りを実施しています。
「お金を出せば、MAM72のような高精度な機械は設備できる。 しかし、この機械の能力を100%引き出せる人材を作らなければ、宝の持ち腐れになってしまう。 組織力、管理力の強化、ビジョンの共有、人材育成を目的とした社員合宿を行い、全員が信頼できる数値目標をもつことで、 人材力を向上させています」と。
また積極的に長期インターシップで大学生や大学院生が工場で研修を受けており、彼らの希望を聞き、適切な仕事を経験させる仕組みを作っています。
例えば将来起業を考えている学生は、太田社長の傍で業務を手伝うことで経営を学べる環境を作っています。
インターシップ制度で若く希望も持つ学生が職場にいることが、活気溢れる職場を作り、それが人材育成にも大きく貢献しています。

「シンガーソングライター的人材」

 「弊社が目指す人材像は“シンガーソングライター的人材”です。 シンガーソングライターは、自分で詩を書き、作曲、そして歌う、結果が良ければお客様から評価され、お金がもらえる。 同様に弊社で働くメンバーは、加工から検査まで多様な業務を経験し、直接お客様から評価を受けます。 “自分の仕事が、お客様から誉められた”と実感したときに、仕事に対するモチベーションは上がり人材が育っていきます」と太田社長。
また社員の平均年齢を聞いたところ、太田社長は次々と社員の生年月日を言われました。
同社の社員は、自分のことをここまで知ってくれている太田社長の元で働く故にシンガーソングライターの様に、素晴らしい仕事が創造できると感じました。

 太田社長の次の目標は、同社の様に一芸に秀でる中小企業のネットワークを形成し、あたかも一つの企業体の様に行動する仕組み作りです。
インターネットの普及により、TV会議、データの共有など新しい仕事のやり方が創造できる環境が整ってきており、 同社は、その渦中で先頭を走り続けていると実感した取材でした。

会社情報

会社名
株式会社キャムブレーン 様
所在地
東京テクニカルセンタ
 〒133-0041 東京都江戸川区上一色1-14-3
 TEL 03-5663-2511
 FAX 03-5663-2513
葛飾テクニカルセンタ
 〒125-0063 東京都葛飾区白鳥4-3-15
EDM-factory(葛飾工場)
 〒124-0023 東京都葛飾区新小岩4-9-5
代 表 者
代表取締役社長 太田 実 氏
創 業
平成5年10月
資 本 金
7,500万円
従 業 員
25名
事業内容
各種部品の設計、加工業務
URL
http://www.cambrain.co.jp/

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