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ユーザーを訪ねて

2016年1月号号のユーザーを訪ねて

No.164

製品カテゴリ:MX-520V.Plus-550

「若い社員」「5軸マシニングセンタ」「三次元測定器」「CADCAM」「新しい工場」を武器に営業活動を行う

株式会社アビコマシン 様

 今回のユーザーを訪ねては、埼玉県内を走るJR川越線武蔵高萩駅から車で東へ5分ほどの株式会社アビコマシンを取材いたしました。取材には安彦英樹社長にご対応頂きました。昭和48年に安彦社長の実父である安彦 昌訓氏が旋盤加工を行う会社として創業されました。

 「私は、学校卒業後にダイカスト会社に就職し、会社 を継ぐ気持ちはありませんでした。しかし、父と一緒に働いていた母親が病気になり、助けるつもりで平成元年に入社しました。当時はダイカストの穴加工を中心に仕事をしていました。創業当時は自宅で、その後近所のア パートの1階で20年近く操業していました。平成20年に現在の地に新しい工場を建設し移転しました。会社に来られたお客様に一つでも強い印象を持って頂きたいとの思いを込めて、一枚の大きな透明ガラス扉を事務所入り口に作りました」と安彦社長。

マツウラの立形マシニングセンタ「RA-3F」を設備

 「取引先が、マツウラの2面パレットチェンジャー標準装備の立形マシニングセンタRA-2を設備していました。その取引先の仕事をする為に、RA-2よりワンランク上のX軸ストロークが740mmある立形マシニングセンタRA-3Fを平成4年に設備しました。1面のパレットには4軸テーブル付加仕様の機械でした。主軸回転数は15,000回転と高速であり、4軸加工が出来るので他社との差別化ができました。プログラム作成はマツウラのGibbsCAMを導入し、機械もCAMもマツウラで統一しました。ある時マツウラのマシニングセンタを設備している別の会社を紹介され、“マツウラの機械を設備しているのであれば信用できるので、当社の仕事をして欲しい”と言われ、F1やエンジン関係の仕事をするようになりました。マツウラのマシニングセンタで新しい取引先が出来、機械が営業をしてくれました」と安彦社長。

経営者であるとの意識改革

 「RA-3Fで様々な会社の仕事ができるようになった時、ある会社の社長と出会いました。その当時私の名刺には主任との肩書きが書いてありましたが、その社長は“貴方は将来経営者になる人なので専務と呼びます”と言われ、それ以後専務と呼んで頂きました。それから経営者としての自覚を持つようになりました。その後、その会社が都合により廃業することになり、その会社から3次元測定器を譲り受けました。経営者としての自覚を持たせてくれ、また3次元測定器を譲って頂き当社の技術的基盤を支えてくれたこの社長には、本当に感謝しています」と安彦社長。

マツウラのマシニングセンタを多数導入

 平成8年に立形マシニングセンタRA-2、平成12年には立形マシニングセンタMC-660VG、平成17年には立形マシニングセンタV.Max-800、平成23年には立形マシニングセンタV.Plus-550、平成25年には5軸制御立形マシニングセンタMX-520、そして平成27年にも同型機5軸制御立形マシニングセンタMX-520を設備しています。現在マツウラのマシニングセンタが全部で6台稼動しています。

 「ある時、形状精度±5ミクロンのスクロール加工の仕事があり、迷わずV.Max-800で加工したところ一発で精度が出ました。その取引先では新しい機械を設備して同じスクロール加工を行いましたが精度を出すのに大変苦労したとのことです。マツウラの機械性能に感謝しています。

 初めて5軸加工機MX-520を設備した時には周囲から“5軸は技術的に難しいので止めた方が良い”との助言もありました。しかし、既にGibbsCAMで5軸対応のプログラム作成が出来る能力を持っていたので不安はありませんでした。この様に機械を次々に設備している理由は、20年以上の古い機械では他社と勝負が出来なくなるので、最新の機械が必要との思いからです。儲かっ たら機械を設備するとの信念で経営を行っており、自宅には資金が回らず築40年の状態です」と安彦社長。

独自の営業活動

 「1台目のMX-520を設備した時には、お客様に“5軸機が入りました”とのハガキを送りました。2台目のMX-520を設備した時には、今までに名刺を頂いていた方々に“5軸機が入り、こんなことが出来ます”と具体的加工例を入れてメールを送りました。直ぐには仕事に結びつかなくても、訪問した時の話しのネタになります。5軸機MX-520が2台あることはお客様に与える印象が違います。また同じ機械なので、2台で加工すれば素早い納期対応が出来ますと言っています。しかし、2台の5軸機を常に稼動させる為の営業には苦労しますが、お客様から“5軸機があるから4軸の仕事も出来るよね”と言われ、仕事の幅が広がっています。正に持っている機械で仕事のレベルを判断されると実感していま す」と安彦社長。

将来について

 「マシニングセンタを設備する時には、マツウラしか考えていません。松浦社長を含め、多くのマツウラで働く人と知り合いになり、親しくしているので、周りの会社からは不思議に思われています。またこれだけマツウラの機械を設備しているとマツウラスクールや機械立会いでマツウラ本社に社員を行かせることが出来ます。社員が実際に機械を作っているところを見て、またマツウラで働く人と接することで、仕事に対する意識が変わっ ていきます。

 若い時の経験から、家族で仕事する会社ではなく、他人を入れた会社にしたいと思っています。可能ならば20歳、30歳、40歳の社員をバランス良く採用したいと考えています。世の中には、社長が50歳代で社員が60歳代の会社が結構多く、それでは5年後、10年後が戦えません。また当社に私の息子が入社するかは分かりませんが、それでも会社が継続できる体制を作らないと、今いる社員がかわいそうになります。機械も人材も含めて5年後、10年後も戦える会社であるとアピールしないといけないと思っています」と語る安彦社長。

 安彦社長とは、私も20年前から面識があり、本社に来られた時や展示会でお会いした時には親しくさせて頂いています。機械の性能はもちろん大事ですが、お客様と接する社員の対応もマツウラブランドを支えていると実感した取材でした。

会社情報

会社名
株式会社アビコマシン 様
本社
〒350-1221 埼玉県日高市大字下大谷沢297-4
TEL
042-985-5545
FAX
042-980-5828
代表者
代表取締役 安彦 英樹
創業
昭和48年
設立
平成14年
従業員
5名
事業内容
自動車研究開発機能部品、自動車レース部品、油圧・空圧機器部品、宇宙・航空関連部品、半導体装置関連部品、特装車部品、金型部品、一般装置機器部品の精密機械加工
URL
http://www.abkm.jp/

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