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ユーザーを訪ねて

2026年夏号のユーザーを訪ねて

標準化が生み出す、信頼される品質・コスト・納期

株式会社 那須精機 様

 

今回の「ユーザーを訪ねて」では、JR那須塩原駅から車で約10分の場所にある株式会社那須精機を訪問しました。取材には、代表取締役の中村公朗様と、製造課課長の磯 康裕様にご対応いただきました。

同社は1967年、東京都大田区で「中村精機」として創業し、機械加工事業を開始しました。その後、1970年に東京都日野市へ移転し、1974年には現在の所在地である栃木県黒磯市(現・那須塩原市)へ移転するとともに、「有限会社那須精機」へ社名を変更しました。1988年には株式会社那須精機へ組織変更し、現在に至っています。

事業内容と同社の強み

同社では、半導体製造装置・航空宇宙関係・医療機器向けの精密部品加工を手掛けるほか、組立・検査まで一貫して対応しています。特に品質管理においては、国際規格に準拠した品質保証体制を構築し、一品一葉で工程ごとに作業標準書を整備するなど、徹底した標準化を推進しています。その取り組みが高く評価され、QCD(品質・コスト・納期)の各面で多くの取引先から厚い信頼を獲得しており、最優秀サプライヤー賞の受賞や「モノづくりパートナーズ」の認定など、数々の実績を残しています。

また、多品種少量生産を得意としており、1点からの受注にも柔軟に対応しています。「お客様の課題を解決すること」をモットーに、一つひとつの要望に真摯に向き合いながら、最適な加工を提供しています。高度な精密部品加工技術を強みに、幅広いニーズに応えており、今後は、医療機器や航空宇宙分野の売上を伸ばしたいとのことです。

マツウラ機の導入について

同社では、1980年に受注量の増加に対応するため、初めて立形マシニングセンタ6台を導入しました。その後も定期的に設備投資を進め、1991年には初のマツウラ製工作機械となるMC-450H PC11を導入しました。

当時はマシニングセンタのオペレータが限られていた一方で、リピート性の高い加工品が多く、生産性の向上が大きな課題となっていました。そこで、高精度加工と省人化の両立を目指し、当時としては珍しかった多パレット仕様のMC-450H PC11を選定しました。それ以前にも2パレット仕様のマシニングセンタは保有していましたが、多台持ちには至っておらず、MC-450H PC11の導入により、高精度加工と多台持ちを実現しました。

1995年には、超高速・高精度加工を特長とするFX-5と、長時間無人運転に対応したMAM72S40を導入しました。FX-5は、それまで保有していた設備では実現できなかった高精度加工を可能にし、MAM72S40は、多品種少量生産のニーズに応える設備として高い効果を発揮しました。

2000年には、長年稼働してきたMC-450H PC11のバックアップ機としてES-450H Ⅱを導入し、更なる受注拡大に対応するため、販売開始から間もないMAM72-3VSを導入しました。また、2005年に導入した全軸リニアモータ駆動のLX-0は、当時需要が拡大していた携帯電話(ガラケー)用ボタン金型の製作で高い性能を発揮しました。現在では、国立東京科学大学の研究で使用される部品加工などに活用されています。

直近では、2026年11月にMX-520 PC7の導入を予定しています。これは、φ500mm前後の大型ワークの需要増加に対応するためです。以前からMXシリーズの導入を検討していましたが、従来のMX-520はPC4仕様のみであり、一方でPC10仕様をラインアップするMX-330やMX-420では対応可能なワークサイズが適合しなかったことから、導入には至りませんでした。

そのような中、2025年にリリースされたタワーパレットシステムPC7は、省スペースでありながら工程集約をさらに進められる点を高く評価いただき、リリース後初の受注につながりました。

マツウラのメンテナンスサービスについて

前述のとおり、同社では30年以上にわたりマツウラの工作機械をご愛用いただいています。そこで、同社の設備全般を管理する製造課課長の磯 康裕様に、マツウラのサービスや機械についてお話を伺いました。

「導入から30年以上が経過した機械であっても、マツウラのサービスマンは的確に問題を解決してくれます。電話で修理を依頼する段階で原因をほぼ把握しており、対応も迅速です。何より、いつも親切に対応していただけるので、とても満足しています」と磯課長。

さらに、マツウラ機の特長については、「長年使用していても加工精度の低下が他社製品と比べて緩やかだと感じています。また、操作性も良く、導入から長い年月が経った現在でも第一線で活躍しています」と評価いただきました。

人材育成について

同社では、社員教育を専門に担う「匠」を配置し、人材育成に力を入れています。

製造業では、常時稼働している製造ラインでOJTを実施することが一般的ですが、繁忙状況によっては十分な指導時間を確保できない場合があります。また、習熟度には個人差があるため、一律の教育では対応が難しいという課題もあります。

そこで同社では、「匠」が一人ひとりの習熟度に合わせた教育プログラムを作成し、実践的な指導を行っています。新入社員や中途入社社員は、立形マシニングセンタや汎用工作機械の操作方法をはじめ、CAD/CAMソフトの活用方法まで体系的に学ぶことができます。さらに、「匠」による技術指導に加え、メンター社員から日々の業務に関するアドバイスを受けられる体制を整えており、安心して成長できる環境づくりを進めています。

今後の展望について

今後の展望について、中村社長は次のように語ります。

「当社では早い段階からパレットチェンジャ搭載のマシニングセンタを導入するなど、自動化に取り組んできました。今後も自動化や無人運転をさらに推進するとともに、業務の属人化をなくしていきたいと考えています。

以前、5軸加工機を担当していた社員が退職した際、改めて設備を稼働させようとしたところ、作業手順や治具などが十分に標準化されておらず、再稼働までに大変苦労した経験がありました。この経験を踏まえ、現在は機械のスイッチ配置や治具をはじめ、さまざまな作業の標準化を徹底して進めています。」

また、将来の構想については、次のように話します。

「将来的には、女性が活躍できる職場環境を作り上げたい。実現にはさまざまな課題がありますが、人手不足への対応だけでなく、職場全体の雰囲気をさらに明るくするなど、多くの効果が期待できると考えています。実現に向けて、一歩ずつ取り組んでいきたいと思います。」

最後に、同社が目指す企業像について、次のように締めくくりました。

「最終的には、お客様に愛される企業であり続けたいと考えています。経営理念である『豊かな企業 豊かな人生 豊かな暮らし』のもと、得られた利益を社員へ還元し、一人ひとりが豊かさを実感できる企業づくりを進めていきたいと思います。」


同社では、自社ブランド製品の開発の一環として、社員が自由にアイデアを出し、それを社内設備を活用して形にする取り組みも行っています。5軸加工機の特長を生かした複雑な形状のオブジェや、精巧に削り出されたおろし金など、自由な発想から生まれた作品が社内の一角に展示されていました。

中村社長は、「自社ブランド製品とはいっても、社員には『自分がつくりたい』と思うものを自由につくってもらいました。一番大切なのは、社員にモノづくりの楽しさを実感してもらうことです」と語ります。

同社は、高精度・高品質な加工技術を強みとしています。しかし、その根底には、寸法や精度だけを追求するのではなく、モノづくりを楽しむ気持ちを何よりも大切にしてほしいという中村社長の思いがあります。その思いを感じることができた、印象的な場面でした。

会社情報

会社名
株式会社 那須精機 様
本社工場
〒325-0025 栃木県那須塩原市下厚崎226-18
TEL:0287-63-3191 FAX:0287-63-1984
代表者
代表取締役 中村公朗
創立
1974年7月 (創業 1967年)
従業員数
32名
事業内容
精密部品の機械加工及び 治具設計、組立

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