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ユーザーを訪ねて

号のユーザーを訪ねて

No.162

製品カテゴリ:LUMEX Avance-25

金型から樹脂成形までの一貫生産を新技術で革新を進める

三光合成株式会社 様

今回のユーザーを訪ねては、東海北陸自動車道『福 光』インターチェンジより車で10分の三光合成株式会 社のテクニカルセンターを取材しました。取材には満嶋 敏雄取締役常務執行役員に対応頂きました。創業は昭和 15年です。当時富山県は薬の産業が発展しており薬ビ ンの蓋が鉄から樹脂に変わり、その樹脂の蓋を作ること で創業されました。

「テクニカルセンターは、次世代技術部、金型を作るT &Eビジネスユニットなど4つの部門があり、T&Eビ ジネスユニットの74名が金型を作っています。作成さ れた金型の内65%が海外で使われています。当社の強 みは、金型から樹脂成形までトータルな技術を持ってい ることです」と満嶋常務。

富山から世界へ、家電から自動車産業へ

 同社は、昭和62年シンガポールに子会社を設立し海 外生産を始めており、現在ではインドネシア、イギリ ス、タイ、中国、インド、メキシコ、米国、フィリピ ン、マレーシアにグループ会社があります。「当時は、 家電やOAなど事務機の部品がメインであり、お客様の 海外進出に合わせて当社も進出しました。そこでは金型 だけでなく樹脂成形による部品製作が行えるのでお客様 に喜ばれています。現在では多くの海外グループ会社が あり全社員約2200名の会社になっています。イギリス の会社のみトップはイギリス人ですが、他は当社の社員 が責任者に就いています。

現在メインの成形品は家電から自動車産業に変わって います。当初は自動車産業の成形品の経験がなく、参入 は難しい状況でした。しかし、イギリスの会社がイギリ スに進出していた自動車メーカーの仕事に携わり、この 実績が評価され自動車産業への参入のきっかけになりま した」と満嶋常務。

各国で働く社員の意識をまとめる為に黒田健宗社長が 就任時、新しい社訓を発表しました。

 

 ● 前向き   POSITIVE
 ● 科 学    SCIENTIFIC
 ● 愛    LOVE

 

この社訓は、シンプルな言葉で表現され、どの国の社員 も理解できるものです。最後の「愛」は、社員、地域、 社会、お客様に対する感謝の気持ちを表現しています。

量産対応に「LUMEX Avance-25」導入

 「金型製作には切削以外では放電加工しかなく、更に 効率の良い製作方法はないかと検討していました。その 時マツウラのハイブリッド金属3Dプリンタ(金属光造形 複合加工機)を知り、新しい加工法に興味があり検討を 進めていました。その時に先端設備投資促進事業費補助 金制度を活用し、第一次申請を提出して導入に一歩前進 しました。また材料としてマルエージング鋼が開発され 量産金型に使えると判断し平成25年11月末に設備しま した。黒田社長より開発ではなく、量産設備として稼動 させるように指示があり、12月に試運転、そして平成 26年1月から本格稼動しています。また当社は樹脂成 形も行っているので成形のメリットと合わせて評価すれ ば十分回収できると判断しています」と満嶋常務。

「三次元水管」新技術に挑戦

 「LUMEX Avance-25で製作された三次元水管を配 した金型は成形効率を格段に上げています。従来流せな かった冷却水が流せるので、どの成形でも成形時間を半 分以下に短縮しています。当社の強みは、冷却水の金型 を使うことによる成形の生産効率を自社で評価できるこ とです。この生産効率向上により、従来の金型であれば 納期に間に合わず休日出勤で対応していましたが、その 必要がなくなりました。しかし、水管が必要な金型ばかりではありません。その他にLUMEX Avance-25でし か作れない形状の金型や、通常複数工程で製作している 形状を一工程で製作するなど新しい金型製作に挑戦して います」と満嶋常務。

 金型工場内にあるLUMEX Avance-25の前には金型 や成形品のサンプルと説明書が置かれたテーブルが常設 され、何時でも説明できるようになっています。日経ビ ジネス(2014.09.01号)の3Dプリンタ特集記事で同 社の金型が紹介され、多数のお客様が見学に来られてい ます。「今までお取引きが出来ないような大手企業の 方々が多数見学に来られます。質問の多くに3Dプリン タ機でどれだけの金型を作られましたかと聞かれます。 金型全部ではなく一部に使われる入れ子型を作り、海外 グループ会社で実際使っていますと答えています」と満 嶋常務。

Tゼロ活動を世界に展開

 同社は、世界中で樹脂成形を行っています。その為に 各国の樹脂材料を使っていますが、国によって微妙に成 分が異なり成形時にトライと検証を行いながら完成品を 作っています。この様な過去にトライした結果を「過去 トラ」と呼ばれるデータベースに蓄積し、グローバルで 検索できるシステムを構築しています。この「過去ト ラ」を参考にしながら新しい製品に取り組むことでミス を減少させ、また生産効率を向上させています。

 「金型製作では“Tゼロ活動”を目指しています。 “Tゼロ活動”では、日本で成形トライを1回のみ行 い、海外グループ会社へ金型を送り現地で調整して最終 製品を作ることを目標にしています。これにより海外グ ループ会社の社員が自らの力で調整することで能力が向 上し、会社のエンジニアリング力が付きます。

 この活動により日本では、新しい金型を作ることに専 念できます。また海外で直前に設計変更要請があっても現地工場で対応が可能です。更に、車の部品は、国の安 全規格に従う為に微妙な形状変更が必要になる場合があ り、金型修正が求められます。これも現地で対応出来れ ばお客様にとって大きなメリットとなります。来年5月 ぐらいを目標に海外グループ会社への設備を進めていま す」と新しい取り組みについて語る満嶋常務です。

 同社は、金型から樹脂成形で作られた樹脂部品を基 に、加工や組立ての自動化ラインの設計製作、またお客 様での金型設計をサポートする技術者の派遣業務まで 行っています。同社の取り組みは、グローバル展開する モノづくりで日本が進むべき一つの方向を示していると 感じた取材でした。

会社情報

会社名
三光合成株式会社 様
本 社
〒939-1698  富山県南砺市土生新1200番地
TEL
0763-52-1000
FAX
0763-52-1925
代表者
代表取締役社長 黒田 健宗
創 業
昭和15年10月
設 立
昭和19年9月
従業員
600名
グループ会社
国内1社 海外15社
株 式
ジャスダック上場
事業内容
・樹脂成形品の製造、販売及び金型の設計、製造 ・機械・電気部品の製造、組立加工 ・工業用製品のデザイン、設計、試作と販売 ・機械機器の自動制御装置の設計、製造、販売 ・労働者派遣事業
URL
http://www.sankogosei.co.jp/

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