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ユーザーを訪ねて

2024年春号のユーザーを訪ねて

一貫生産体制で見えないところから日本のモノづくりを支える

株式会社 ライト製作所 様

 

今回のユーザーを訪ねては、首都圏中央連絡自動車道の坂戸インターチェンジから車で15分の距離にある株式会社ライト製作所坂戸工場です。取材には、坂戸工場の工場長を務める津野田亘取締役に対応頂きました。同社は主に光学機器や半導体製造装置、医療機器などの開発及び製造を行うほか、新製品や試作品などを受注し、開発から加工、組立、検査などのあらゆる工程を自社内で行う一貫生産を強みにしています。

津野田取締役は津野田修現社長のご子息で、創業者の津野田三郎氏から数えて4代目にあたります。津野田取締役は、幼少期より祖父から家業を継ぐように伝えられ、同時に日本のモノづくりを牽引したい、という思いが芽生えました。大学では機械工学を専攻し、大学院に進学。博士号を取得したのちに、大手総合電機メーカーに就職し、同メーカーの研究所で様々な製品や人、工場を見聞きしながら機械の研究を行ってきました。2021年に同社へ入社し、経営企画部へ配属され、2022年より坂戸工場長を務めています。

時流に合わせたモノづくり

同社は創業者の三郎氏が1947年に機械メーカーから独立し創業しました。創業当初はメリヤス機(糸を編む装置)の付属部品を製造、販売していました。創業者は商売人であったことからメリヤス機だけでなく、カメラ部品の機械加工、カメラ筐体の組立といったように事業を拡大させていきました。しかし、次第にカメラの国内生産は減少し、同社の主力製品は半導体関連や液晶関連、医療機器関連の部品加工へとシフトしていきました。「1960 ~80年代においてカメラは消費者にとって憧れの製品でしたが、時代の流れによってその認識は変わり、PCやスマホなどが多く使われるようになり半導体の需要が大きくなっていきました。時代の流れに伴い当社は生産ラインを変えながら事業転換をうまく行ってきたと思います。当社は、時流によって求められるものをお客様と一緒に作り上げて今日に至ります。」と津野田取締役。

「ひとと同じことはやらない」一貫生産体制

同社の強みは、設計から製造に至るまで一貫生産を行うことができる点にあります。「昔から“ひとと同じことはやらない”として、設計、加工、溶接、塗装、組立、検査などを自社内で一貫して行ってきました。一貫生産が可能なことでお客様が安心して発注でき、また当社から様々なご提案をすることもできます。」と津野田取締役。

また、坂戸工場の特色としては、大型精密加工が可能で、クリーンルーム内で複雑な組立を行うことができる点です。この点が半導体関連のお客様から多くの依頼を受ける所以です。ただし、現在の坂戸工場は事業転換の時期にあり、生産品の入れ替えを行っています。これまで半導体向けの光学製品を20年近く量産し続けてきましたが、今後は高精度加工が必要で、組立が難しく、複雑で工数がかかるものの生産を立ち上げ、他社が真似できない「強いモノづくり」を目指していくとのことです。

マツウラを選ぶ理由

同社に納入されたマツウラ機について、古くは1965年に発売されたプロコンフライス盤E-200 や、1976年7月に設備されたMC-750V1 です。特に同機種は日本初の立形MCとして発売された機種で、発売当時2,000万円を切るMCであったことからユーザー、ディーラーから注目されたとともに、MC=横形という常識を覆した機種でもあります。

それから、複数のマツウラ機を設備いただき、本誌では直近に設備された機械を紹介いたします。2012年3月にCUBLEX-63 PC18 が設備され、同機種の加工可能なワークサイズΦ630は同社にとって小物~中物加工に用いられます。「CUBLEX シリーズの最大の特徴であるマシニング加工と旋盤加工を利用して丸物と精度物を1発で加工できる」ということで、半導体露光装置の基幹部品の加工などに利用されています。

2021年10月にMAM72-35V PC60(以下MAM72-35V )が設備され、事業転換に伴うライン見直しの為、機械場にあった複数の古い多面パレットマシニングセンタの集約に一役買いました。「この設備によって、スペース・人手・メンテナンス時間を削減することができ、機械台数が減っているにも関わらずそれまでの仕事量も問題なく捌けている」とのことです。

2023年12月にMAM72-52V PC15(以下MAM72-52V)が設備され、上記のMAM72-35V をカバーする役割を担っています。MAM72-35V で加工可能なワークサイズΦ350では収まりきらないワークがあり、機械場を集約した後に仕事量も増えてきた為、追加で設備を行う必要がありました。設備の選定でポイントとなったのは、MAM72-35V を扱うオペレーターが使い易い機械。当初は価格面でMX シリーズを検討されていましたが、ちょうど展示機としてMAM72-52V の提案があり即決。同機種は精度が要求されるワークを加工しており、タワーパレットシステムを活用して段取レスで効率よく生産が行われています。量のMAM72-35V に対して、精度重視のMAM72-52Vと、棲み分けがされています。

日本のモノづくりを牽引したい

「当社では古いマツウラ機が多数残っており、今でも現役でずっと動いています。機械の信頼性や加工の精度、サポートなど様々な点に関してマツウラは実績があります。そのことから、CUBLEX シリーズやMAM72 シリーズを安心して選ぶことができます。」と津野田取締役。

また、マツウラのサポートに対して、「スピーディーに修理対応を行っていただいており、営業担当の方も当社の東北地区の工場も含めてこまめにヒアリングに来てもらっています。お付き合いしていくうえで非常に信頼しています。」と津野田取締役。

同社の今後の展望について、「当社の強みである大型で精密かつ複雑な装置組立ができる環境と一貫生産体制を使って、さらに付加価値の高い製品を提供したいと思います。日本のモノづくりを裏方として支えられるような企業にしていきます。」と津野田取締役。

時流に合わせて自社のモノづくりを変え、様々なお客様を支えてきた同社。創業者の三郎氏がモットーとしていた「本業に専念する」という思いは、4代目の津野田取締役にも受け継がれています。日本のモノづくりを牽引する同社をマツウラは今後もサポートいたします。


同社への「ユーザーを訪ねて」取材は、過去に1996年3月号で実施しており、今回で2度目となります。インタビュー前に前回取材をした際の記事を津野田取締役にご覧いただいたところ、○○さんだ、□□さんもでている、など恐らくベテラン社員の方であろう名前を挙げながら感慨深い様子でした。

また、インタビュー後に工場を案内いただいたところ、ちょうど道中で筍を仕分けしている社員の方々がおり、話を聞くと近くの拠点である石井サイト内の竹林で筍が採れるようで、新入社員が収穫してきたものだそうです。新入社員研修の良い息抜きにもなっているようですが、採れた筍を見るとどれも丁度よい部分で切り取られており、こんな部分にも加工のセンスが光っていました。

会社情報

会社名
株式会社 ライト製作所 様
本社
〒174-8633 東京都板橋区前野町1-47-3
坂戸工場
〒350-0209 埼玉県坂戸市塚越1310-3
TEL 049-281-6111
代表者
代表取締役 津野田 修
設立
1947年6月
従業員数
600名(グループ合計)
事業内容
・ 受託製品(光学機器・半導体製造装置・ FPD 製造装置・医用機器など)の開発、製造
・ 自社製品(眼科眼鏡機器・半導体搬送装置 ロードポート・AGV)の開発、製造
URL
株式会社ライト製作所様 ウェブサイト

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